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鼠径ヘルニア
田村 卓也副院長

術後鎮痛について

当院では開院当初より術後の疼痛コントロールを一つの課題として、日々の診療の中でブラッシュアップしております。

そんな中で腸骨鼠径神経ブロックの有用性に気づき、すべての鼠径ヘルニア術後患者様に併施させていただいております。

 

ヘルニア誌に今年の2月に投稿された論文を紹介します。

The effects of dexamethasone added to ilioinguinal/iliohypogastric nerve (IIN/IHN) block on rebound pain in inguinal hernia surgery: a randomized controlled trial

こちらの論文では腸骨鼠径神経/腸骨下腹神経ブロックにデキサメサゾン5㎎の静注を併用した場合の上乗せ効果を見た論文です。

評価項目は、術後のトラマドール(鎮痛薬)の使用量、反跳性疼痛(神経遮断後の一過性急性疼痛)の有無、反跳性疼痛の時間、

MRPS(Modified Rebound Pain Score 反跳性疼痛の評価スケール)、術後48時間のオピオイド消費量、NRS(Numerical Rating Scale 疼痛のスケール)、

QoR-15(Quality of Recovery score QOLのスケール)、睡眠の質、有害事象です。

結果、60人の鼠径ヘルニア手術を受けた患者が登録されました。背景に群間差はありませんでした。

MRPSの平均スコアは安静時、動作時ともにデキサメサゾン投与群(Dex群)がコントロール群より低く、トラマドール使用量は少なく、反跳性疼痛の発生人数は少なく、NRSも低いという結果でした。またQoR-15のスコアはDex群で有意に高かったという結果でした。

結論として神経ブロックとデキサメサゾンの併用は術後の反跳性疼痛の発生を抑えることにより、QOLの向上を図ることができる可能性があるとしております。

 

鎮痛は術後快適にお過ごしいただくための手段です。患者さんにご満足いただくために手術手技ももちろんですが、術後の鎮痛にも創意工夫をしていきたいです。

当院では種類も目的も異なりますが、プレドニゾロンをPONV(全身麻酔後の嘔気)予防として使用しています。

図らずも神経ブロックにステロイドを併用できていたわけですが、患者さんにご満足いただくため、今後も新たな知見を取り入れていきたいと思う所存です。

著者

副院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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