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所 為然院長

論文紹介:Dextile Anatomical メッシュに関する研究

皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。

本日ご紹介する論文は、腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術の際に使用するメッシュに関する話です。

タイトル「The first experience with the Dextile anatomical mesh in laparoscopic inguinal hernia repair」

和訳すると「腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術におけるDextileアナトミカルメッシュの最初の使用経験」

PMID:37548799(Google scholarでも見つけれます)

 

【背景】

Dextile Anatomical メッシュ(メドトロニック社製)は、ポリプロピレン製のヘビーウェイト・メッシュである。

腹腔内からみた鼠径部の輪郭に合った3D形状なので固定を必要とせず、ヘルニアの再発や術後の慢性疼痛のリスクを軽減する可能性がある。

本研究は、Dextile Anatomical メッシュの治療成績を、他の三次元メッシュである3DMaxメッシュ(Bard社製)と比較評価した最初の研究となる。

 

【方法】

・研究デザイン:後ろ向き観察研究

・セッティング:2019年から2022年, the Zuyderland Medical Center(オランダの病院)

・対象:片側鼠径ヘルニア修復術を受けた患者さん

・手術方法:TEP、両群ともメッシュは固定せず

・アウトカム:術中・術後合併症、鼠径ヘルニア再発、術後慢性鼠径部痛

 

【結果】

Dextile Anatomical メッシュ群416例、3DMax mesh群540例。

創感染、抗生剤の使用、血腫、漿液腫、尿閉、創傷治癒遅延などの術中・術後合併症に関して、両群間に有意差は認められなかった。

1年再発率はDextile Anatomical メッシュ群で3.8%、3DMax メッシュ群で3.0%、P = 0.45と同等であった。

術後の鼠径部慢性疼痛は、Dextile Anatomical メッシュ群(3.4%)と3DMax メッシュ群(3.0%)で同程度であった(P = 0.72)。

 

【結論】

片側鼠径ヘルニア修復術において、比較的新しいDextile Anatomical メッシュ(Medtronic社製)と3D Max メッシュ(Bard社製)を比較したこのレトロスペクティブ研究では、両メッシュとも安全で効果的に使用できることが示された。術中成績、再発率、術後慢性鼠径部痛に有意差はなかった。

 

[COMMENT]

3Dメッシュが固定を要しない、という話は以前から聞きます。

日本ではタッカーを用いて固定する事が多いです。

余談ですが、当院はタッカーによる疼痛を避けるために手縫いで固定しています。

気になる成績ですが、術後短期合併症、慢性疼痛、再発率、は両群の間で差はありませんでした。

Dextile Anatomical メッシュも固定せずに使えそうだね!というのが結論になります。

しかし、気になるのは再発率と慢性疼痛の割合。どちらも3%以上である。

これは無視できないほど高い、と感じます。

特に再発率3%って、33人に一人は再発する計算になります。

日本で同様の試験をやったら異なる結果かもしれないが

やはり固定は必要なのでは…?

著者

院長
所 為然Yukinari Tokoro

略歴

2010年3月 広島大学医学部医学科卒業
2010年4月 成田赤十字病院
2012年4月 千葉大学医学部付属病院肝胆膵外科
2014年4月 千葉県がんセンター消化器外科
2017年4月 大阪赤十字病院消化器外科
2022年12月 MIDSクリニック開院

資格

外科学会専門医/消化器外科学会専門医/消化器がん外科治療認定医/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本臨床外科学会/日本医癌学会/日本内視鏡外科学会/日本食道学会/日本ヘルニア学会/日本臨床栄養代謝学会

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