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論文紹介鼠径ヘルニア
所 為然外科部長

論文紹介:巨大鼠径ヘルニアの修復

皆様こんちには、大阪うめだ鼠経ヘルニアMIDSクリニックです。
本日ご紹介する論文のタイトルは「Giant inguinal hernia repair using standard transverse inguinal incision with mesh. A retrospective case control study」。

和訳すると「メッシュを用いた鼠径部切開法による巨大鼠径ヘルニア修復術の後向き症例対照研究」となります。

(PMID:37370017, Google scholarでも見つけれました)

【背景】
巨大鼠径ヘルニア(GIH)は先進国ではまれな疾患であり、文献も少ないです。

症例報告レベルでは、腹部コンパートメント症候群(ACS)を予防するための様々な方法が述べられています。

 

【目的】
巨大鼠径ヘルニア(GIH)修復術の経験を記述する事。

 

【方法】
2014年~2021年、専門施設で鼠径部切開法+Meshによる巨大鼠径ヘルニア(GIH)修復術を受けた全患者のカルテを後向きに解析しました。

手術の要点として、頭低位にする事で、切開前のヘルニア嚢の内容をなるべく減らし、メッシュによる修復を行う事である。

通常の鼠径ヘルニアを対照群として比較検討した。

 

【結果】
GIH症例58例、対照群は232例でした。平均手術時間はGIH群で125.5分、対照群で84分であった(p < 0.001)。

腸切除はどの症例でも必要なかった。院内合併症発生率はGIH群で13.8%、対照群で5.6%であった(p = 0.045)。

早期合併症発生率(術後30日まで)は、GIH群と対照群でそれぞれ62.1%対14.7%であった(p<0.001)。

晩期合併症発生率も同様であった(p = 0.476)。

腹部コンパートメント症候群(ACS)と手術関連死亡はなく、またGIH群では再発は報告ありませんでした。

 

【結論】
標準的な鼠径部横切開を用いたGIHに対するメッシュを用いた修復術は安全に実施可能でした。

早期合併症は対照群より多いが、晩期合併症や重度合併症の発生率は高くなく、再発もありませんでした。

 

[COMMENT]
巨大鼠径ヘルニア、確かに日本ではあまり出会いません。ここまで大きくなるより前に手術してしまいますよね。

国間の保険システムの差異が大きな理由だと思います。国民皆保険だから気軽に受診できますよね。

そして巨大鼠径ヘルニア修復後は確かに腹腔内圧が上昇しそうですが、腹部コンパートメント症候群のリスクがあるほどなんですね。これもちょっと驚きです。

著者

外科部長
所 為然Yukinari Tokoro

略歴

2010年3月 広島大学医学部医学科卒業
2010年4月 成田赤十字病院
2012年4月 千葉大学医学部付属病院肝胆膵外科
2014年4月 千葉県がんセンター消化器外科
2017年4月 大阪赤十字病院消化器外科
2022年12月 MIDSクリニック開院
2024年2月 外科部長就任

資格

外科学会専門医/消化器外科学会専門医/消化器がん外科治療認定医/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本臨床外科学会/日本医癌学会/日本内視鏡外科学会/日本食道学会/日本ヘルニア学会/日本臨床栄養代謝学会

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