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女性の方が多い鼠径部ヘルニア ~大腿ヘルニアに関する最新の報告~
はじめに - 鼠径部の解剖
鼠径部(そけいぶ)は、お腹の下方、太もものつけ根にあたる部分です。この部分には、腹腔内から脚へと続く重要な血管や神経が通る通路があり、その構造は男女で異なることが知られています。特に女性の場合は、解剖学的な特徴として鼠径管が細く、また大腿輪(だいたいりん:大腿ヘルニアの出口となる部分)が男性より広いことが特徴です。
鼠径ヘルニア(脱腸)とは
鼠径ヘルニア(脱腸)は、この鼠径部の筋肉や腱膜が弱くなることで、腹腔内の臓器(主に腸管や腹膜)が飛び出してしまう病気です。日本では年間約15万件の手術が行われている一般的な疾患です。
年齢とともに筋肉が弱くなることで発症リスクが高まりますが、重い物を持ち上げる作業が多い方や、便秘で力むことが多い方、また喫煙者の方なども発症リスクが高いとされています。一度発症すると、自然治癒することはなく、多くの場合、手術による治療が必要となります。
大腿ヘルニアについて
大腿ヘルニアは、鼠径部ヘルニア(脱腸)の一種ですが、以下のような重要な特徴があります:
特徴と重要性
・鼠径部のやや下方(大腿動静脈の近く)に発生します
・女性に多く見られ(男性の4倍の発生率)、特に50歳以上の女性に多いとされています
・嵌頓(かんとん:腸が戻らなくなる状態)のリスクが高く、この場合、緊急手術が必要となります
・一般的な鼠径ヘルニア(脱腸)と比べて、より重篤な合併症を引き起こす可能性があります
診断が難しい理由
1.膨らみが小さい場合が多く、外から見て分かりにくい
2.従来の前方からの診察では見つけにくい位置にある
3.初期症状が軽い、もしくは無症状の場合もある
4.鼠径ヘルニア(脱腸)と症状が似ているため、誤って診断される可能性がある
見逃しのリスク
大腿ヘルニアは、従来の前方からの手術では見逃されやすく、そのために再手術が必要になるケースが報告されています。最新の研究では、前方からの手術を受けた後に再手術となった女性患者の約20%で、実は大腿ヘルニアが原因だったことが判明しています。
腹腔鏡手術の重要性と利点
腹腔鏡手術は、おへその周りに小さな穴を開けて、特殊なカメラと手術器具を使用して行う最新の手術方法です。この手術方法には、以下のような大きな利点があります:
1.より正確な診断が可能
・後方からの視野が得られるため、大腿ヘルニアの発見が容易
・両側を同時に観察できる
・小さなヘルニアも見つけやすい
2.手術の質が高い
・繊細な手術操作が可能
・再発率が低い
・メッシュ(人工補強材)の留置が理想的な位置に可能
3.患者さまの負担が少ない
・傷が小さい(5-10mm程度)
・術後の痛みが少ない
・日帰り手術が可能
・早期の社会復帰が可能
当院からのメッセージ
大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックでは、この研究結果を重視し、特に女性患者さまに対して腹腔鏡手術を積極的に推奨しています。当院の腹腔鏡手術は日帰りで受けることができ、術後の痛みも最小限に抑えられます。
以下のような症状がある方は要注意
・鼠径部の膨らみ
・立っているときに増強する違和感
・座るとおさまる痛み
・つっぱり感 特に女性の患者さまは、大腿ヘルニアの可能性も考えられますので、早めの受診をお勧めします。
情報提供元
大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック
所在地:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1丁目2番2-100号 大阪駅前第2ビル 1階
電話番号:06-6341-5570