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鼠径ヘルニア
所 為然外科部長

鼠径部とは 〜あまり聞きなれない場所の話〜

みなさんは「鼠径部(そけいぶ)」という言葉を聞いたことがありますか?

実はとても身近な場所なのに、普段はあまり意識することのない部位です。

今回は、この「鼠径部」について、詳しくご説明したいと思います。

 

鼠径部の場所

鼠径部は、私たちの体の中でも特徴的な場所の一つです。

具体的には、おなかの下の方、足の付け根のあたりを指します。太もものつけ根、下腹部との境界線にあたる部分です。

歩いたり座ったりすると自然としわになる、足の付け根の部分です。

普段何気なく過ごしている中では特に気にすることもない場所かもしれませんが、実は体の中でも重要な役割を担っている部分なのです。

 

鼠径部の「鼠径(そけい)」ってなに?

「鼠径」という言葉の由来には、興味深い話があります。

「鼠(ねずみ)」という漢字が使われているのには、実は理由があるのです。

この部分をよく見ると、足を曲げたときにできる深いしわの形が、まるでネズミが通るような通り道(道筋)のように見えます。

そのため、「鼠の通り道」という意味で「鼠径」という漢字が当てられたと言われています。

私たちの先人は、体の特徴をとても詳細に観察し、その特徴を言葉として残してくれたのですね。

 

鼠径部の重要性

一見何気ない場所に見える鼠径部ですが、実は体の中でもとても重要な場所です。

まず、この部分には足全体に血液を送る太い血管が通っています。

大腿動脈と呼ばれるこの血管は、足の血液循環に欠かせない重要な血管です。また、足の動きや感覚を司る重要な神経も、この部分を通って足へと伸びています。

 

さらに、鼠径部には体の免疫システムの一部であるリンパ節が多く集まっています。

足や下腹部からのリンパ液が集まってくる場所で、体の免疫機能を保つ上で重要な役割を果たしています。風邪をひいたときなどに、ここのリンパ節が腫れて気づく方も多いのではないでしょうか。

 

また、鼠径部は歩行や姿勢保持に重要な筋肉が集まる場所でもあります。

お腹と足をつなぐ重要な接続部として、私たちの動作を支えているのです。スポーツをする方であれば、この部分の筋肉の柔軟性や強さが、パフォーマンスに大きく影響することをご存知かもしれません。

 

気をつけたい鼠径部のトラブル

この部分は、体の中で比較的弱い部分の一つでもあります。その代表的な症状が鼠径ヘルニア(脱腸)です。

これは、おなかの内容物が鼠径部の筋肉の隙間から飛び出してくる状態で、足の付け根に膨らみを感じたり、違和感を覚えたりすることがあります。

また、前述したリンパ節の腫れも、注意が必要な症状の一つです。感染症や炎症による反応として腫れることもありますが、時には重要な病気のサインとなることもあります。

さらに、スポーツや激しい運動後に、鼠径部の筋肉に痛みやつっぱりを感じることもあります。これは鼠径部の筋肉や腱の使いすぎが原因となっていることが多いですが、適切なケアが必要です。

 →鼠径部にしこりや痛みを生じる病気の詳細はこちらをご覧ください

 

まとめ

普段はあまり意識することのない鼠径部ですが、私たちの体の中でとても大切な役割を果たしている場所です。

血液の循環、神経の伝達、免疫機能の維持、そして運動機能の支援など、様々な重要な働きを担っています。

もし鼠径部に違和感や痛み、腫れなどを感じたら、恥ずかしがらずに医療機関を受診することをお勧めします。

早期発見・早期治療が、より良い治療結果につながることも多いのです。

普段から体の声に耳を傾け、気になることがあれば、ためらわずに専門医に相談しましょう。

 

情報提供元

大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック

所在地:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1丁目2番2-100号 大阪駅前第2ビル 1階

電話番号:06-6341-5570

著者

外科部長
所 為然Yukinari Tokoro

略歴

2010年3月 広島大学医学部医学科卒業
2010年4月 成田赤十字病院
2012年4月 千葉大学医学部付属病院肝胆膵外科
2014年4月 千葉県がんセンター消化器外科
2017年4月 大阪赤十字病院消化器外科
2022年12月 MIDSクリニック開院
2024年2月 外科部長就任

資格

外科学会専門医/消化器外科学会専門医/消化器がん外科治療認定医/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本臨床外科学会/日本医癌学会/日本内視鏡外科学会/日本食道学会/日本ヘルニア学会/日本臨床栄養代謝学会

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