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虫垂炎論文紹介
田村 卓也院長
急性虫垂炎の手術で発見される思わぬ腫瘍について— 6,446例の大規模研究からわかったこと
急性虫垂炎(いわゆる「盲腸」)の手術は、一般的な外科手術の一つです。今回は、最新の医学研究から、虫垂炎手術における重要な知見についてお伝えします。
研究の概要
最近、医学誌「Irish Journal of Medical Science」に掲載された研究(Sahin N, et al. 2024)で、虫垂炎の手術で切除した組織から、予期せぬ腫瘍が見つかることがあるという報告がありました。この研究では、6,446人もの患者さんのデータを分析しています。
研究から見えてきたこと
研究では、手術で取り出した虫垂の組織を詳しく調べることの重要性が指摘されています。特に以下の点が重要とされています:
- 虫垂炎と診断された場合でも、その背景に腫瘍が隠れている可能性がある
- 手術後の病理検査が非常に重要である
- より詳しい検査基準の確立が必要である
患者さんへのメッセージ
この研究結果は、早期発見・早期治療の重要性を改めて示しています。当院では、このような研究結果を踏まえ、以下のような対応を心がけています:
- 丁寧な術前診断
- 最新の腹腔鏡技術を用いた安全な手術
- 術後の適切な病理検査
- 必要に応じた専門医療機関との連携
当院からのアドバイス
腹痛、特に右下腹部の痛みを感じた場合は、できるだけ早めに受診することをお勧めします。当院では、日帰り腹腔鏡手術による低侵襲な治療を提供しており、手術後も細やかなフォローアップを行っています。
以下のような症状がある場合は、ためらわずにご相談ください:
- おへその周りから始まり、右下腹部に移動する痛み
- 吐き気や食欲不振
- 37.5度以上の発熱
- 右下腹部の圧痛
出典: Sahin N, et al. The incidence of incidental neoplasia in pathology samples of patient who underwent appendectomy due to acute appendicitis. Irish Journal of Medical Science, 2024.