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虫垂炎論文紹介
田村 卓也院長

医療保険の種類による医療アクセスの違い - 米国における虫垂炎患者の受診状況調査から学ぶこと


こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。

今回は、最近発表された興味深い米国の研究論文をご紹介したいと思います。

出典:Tran MY, et al. Access to Healthcare for Appendicitis Patients in the United States Based on Insurance Coverage. Cureus. 2024;16(10):e70699.

研究の背景

米国では、医療保険の種類によって受けられる医療サービスに差があるのではないかと考えられています。今回の研究では、虫垂炎患者の受診について、**公的医療保険(メディケイド)民間保険(Cigna)**での違いを調査しています。

調査の概要

  • 期間:2023年10月20日〜11月10日(3週間)
  • 対象:米国4州(ノースダコタ、ユタ、ワイオミング、ニューハンプシャー)の外科医81名
  • 方法:虫垂炎の症状を想定した電話調査

主な調査結果

  1. 保険の受入状況
    • Cigna(民間保険):77医療機関が受入
    • メディケイド(公的保険):33医療機関が受入
  2. 受診までの待機期間
    • Cigna:平均9.45日
    • メディケイド:平均4.71日

興味深いことに、予想とは異なり、保険の種類による受診のしやすさに大きな差は見られませんでした

日本の医療制度との比較

日本では国民皆保険制度により、基本的にどの医療機関でも保険の種類(国民健康保険・社会保険など)による診療の差はありません。これは世界に誇れる素晴らしい制度です。

しかし、他国の医療事情を知ることは、私たち医療従事者にとっても、患者さまにとっても、医療を深く理解する上で非常に重要です。様々な医療制度や課題を知ることで、より良い医療の在り方を考えるきっかけになります。

当院からのメッセージ

当院では、_虫垂炎の待機的日帰り腹腔鏡手術_を提供しています。急性虫垂炎の症状(右下腹部の痛みなど)がある場合は、保険の種類に関係なく、できるだけ早めの受診をお勧めします。

早期発見・早期治療が、より安全で快適な治療につながります。心配な症状がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

#虫垂炎 #腹腔鏡手術 #医療保険 #医療制度

この記事は医学研究の紹介であり、実際の診療内容は患者さま個々の状態によって異なります。詳しくは当院までお問い合わせください。


著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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