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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長
鼠径ヘルニア(脱腸)の手術方法を考える
~ヘルニア袋の処理方法に関する最新の研究から~
出典: Updates in Surgery 2024年論文 "Is the transection of the hernia sac during laparoscopic inguinal hernioplasty safe and feasible? An updated systematic review and meta-analysis"
はじめに
鼠径ヘルニア(脱腸)の腹腔鏡手術において、ヘルニア袋(おなかの内容物が飛び出してくる際の袋状の部分)の処理方法には、大きく2つの方法があります。今回は、世界中の研究(2,995名の患者さんのデータ)をまとめた最新の報告についてご紹介します。
2つの手術方法の違い
1. 切除する方法(TS法)
- ヘルニア袋を途中で切って処理
- 比較的簡単な手術方法
- 術後の水がたまりやすい
2. 完全に戻す方法(RS法)
- ヘルニア袋を丁寧に剥がして元の位置に戻す
- より繊細な手術操作が必要
- 術後の水たまりが少ない
研究でわかったこと
- TS法の特徴:
- 水がたまる確率が少し高い(15.2%)
- 日常生活に戻るまでの時間が少し長い
- RS法の特徴:
- 水がたまる確率が低い(11.3%)
- 日常生活への復帰が早い
- 両方とも同じだった項目:
- 手術時間
- 痛みの程度
- 合併症の頻度
- 再発率
それぞれの方法が向いている患者さん
RS法(完全に戻す方法)が望ましい方:
- 若い方
- 初めてのヘルニア
- ヘルニアが小さい方
TS法(切除する方法)が考慮される方:
- 高齢の方
- 陰のうまで大きく下がっている方
- 過去に嵌頓(はまりこみ)の経験がある方
当院からのメッセージ
大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックでは、患者さん一人一人の状態に合わせて最適な手術方法を選択しています。豊富な経験を持つ専門医が、年齢や活動性、ヘルニアの種類やサイズなどを総合的に判断し、それぞれの症例に応じて柔軟に対応させていただいております。
気になる症状がある方は、早めの受診をお勧めします。当院では、日帰り腹腔鏡手術を専門としており、必要に応じて両方の手術方法に対応可能です。丁寧な説明と、安全な手術を心がけておりますので、お気軽にご相談ください。
情報提供元
大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック
所在地:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1丁目2番2-100号 大阪駅前第2ビル 1階
電話番号:06-6341-5570