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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

女性の鼠径ヘルニア(脱腸)診療における課題と展望


― 最新の研究からわかってきたこと ―

出典: Surgical Endoscopy 2024年論文 "Understanding patient experiences to improve care for females groin hernia" (著者:Deena Sukhon他、ミシガン大学外科学教室)

はじめに

鼠径ヘルニア(脱腸)は、従来「男性に多い病気」というイメージが強く、女性患者さんの診断や治療において様々な課題があることが、最新の研究で明らかになってきました。今回は、女性の鼠径ヘルニア(脱腸)患者さんの経験から見えてきた重要なポイントについてお伝えします。

研究の概要

  • 34名の女性患者さんへの詳細なインタビュー調査
  • 期間:2023年7月~12月
  • 目的:診断から治療までの経験と課題を明らかにすること

明らかになった主な課題

1. 診断に関する問題

  • 「女性には少ない」という誤った認識による__診断の遅れ__
  • 婦人科の病気と間違われるケースが多い
  • 症状の見過ごしによる治療開始の遅れ

2. 治療に関する不安

  • 手術か経過観察かの選択に必要な情報が不足
  • 術後の回復期間と育児や仕事との両立への心配
  • 痛みの管理に関する懸念

3. 今後の研究課題として挙げられた点

  • 出産との関連性
  • 女性特有の痛みの経験
  • 手術以外の治療選択肢の可能性

日本の女性患者さんにとっての意義

  • 仕事・育児との両立を考慮した治療計画の必要性
  • 女性特有の症状や回復過程への理解
  • より正確な診断と適切な治療選択のための情報提供

まとめ

当院からのメッセージ: 女性の鼠径ヘルニア(脱腸)は、適切な診断と治療が遅れがちです。少しでも足の付け根の違和感膨らみを感じられた場合は、ためらわずに専門医への相談をお勧めします。

当院では、女性患者さんの生活スタイルや不安に配慮し、_日帰り腹腔鏡手術_による低侵襲な治療を提供しております。術後の早期回復により、育児や仕事への早期復帰が可能です。

気になる症状がございましたら、お気軽にご相談ください。丁寧な説明と、患者さん一人一人に合わせた治療計画をご提案させていただきます。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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