皆さま、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。今回は、虫垂炎の手術に関する興味深い研究をご紹介します。
最新研究の概要
中国の研究チームが行った最新の研究で、腹腔鏡下虫垂切除術後の傷の感染リスク(医学用語では手術部位感染、SSIと呼びます)と体の組成との関連が明らかになりました。この研究は、2024年に医学雑誌「BMC Surgery」に掲載されています。
研究の主なポイント
内臓脂肪の量が多いほど感染リスクが上昇
研究によると、内臓脂肪の量が多いほど、手術後の傷の感染リスクが高くなることがわかりました。
糖尿病や開腹手術への切り替えがリスクを上昇
糖尿病がある方や、手術中に開腹手術に切り替えた場合も、感染リスクが高くなることが示されています。
感染リスク予測ツールの開発
これらの要因を組み合わせて、感染リスクを予測するツールが開発されました。
日本の医療現場への応用
この研究結果は、日本の医療現場でも応用できる可能性があります。特に、日本では高齢化や「隠れ肥満」と呼ばれる、見た目は痩せていても内臓脂肪が多い方が増加しています。そのため、手術前にCT検査で内臓脂肪の量を確認し、リスクを事前に評価することが重要です。
当院での取り組み
当院では、このような最新の研究結果を参考にしながら、患者さま一人ひとりの状態に合わせた最適な治療を提供しています。虫垂炎の待機的日帰り腹腔鏡手術を行っておりますが、術前の適切な評価と丁寧な説明を心がけています。
早期診察のすすめ
もし虫垂炎の症状がある方、または過去に虫垂炎と診断されたことがある方は、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。当院では、最新の知見を取り入れた安全な手術と、きめ細やかな術後ケアを提供しております。お気軽にご相談ください。
結びに
皆さまの健康と安全な治療のために、これからも最新の医学情報を発信してまいります。ご質問やご相談がございましたら、いつでもお問い合わせください。
【参考文献】
Yin P, et al. Association between body composition and incisional surgical site infection after laparoscopic appendectomy for complicated appendicitis. BMC Surgery. 2024;24:297.