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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

最新の研究が示す!腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の優位性


みなさん、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニア(脱腸)MIDSクリニックの院長です。今日は、鼠径ヘルニア(脱腸)の手術方法に関する最新の研究結果をご紹介します。

最新の研究「TAPP法 vs Lichtenstein法」

最近、医学雑誌「Updates in Surgery」に掲載された研究「TAPP versus Lichtenstein techniques for bilateral inguinal hernia repair: A systematic review and meta-analysis」(両側鼠径ヘルニア修復におけるTAPP対Lichtenstein法:システマティックレビューとメタアナリシス)の内容をわかりやすくお伝えします。

この研究では、両側の鼠径ヘルニア(脱腸)の手術方法として、腹腔鏡を使用するTAPP法と、従来の切開を行うLichtenstein法(開放手術)を比較しています。

研究の主なポイント

  1. TAPP法のメリット
    TAPP法は、手術後の入院期間が短く、痛みが少なく、合併症も少ないことがわかりました。

  2. Lichtenstein法のメリット
    一方、Lichtenstein法は手術時間が短いという利点がありました。

  3. 再発率の比較
    再発率については、両方の手術方法で差がありませんでした。

結論:TAPP法が新しい標準になる可能性

この研究結果は、TAPP法が多くの面で従来の開放手術より優れていることを示しており、鼠径ヘルニア(脱腸)手術の新しい標準になる可能性があります。

日本における鼠径ヘルニア手術の現状と今後の展望

日本では、まだ約70%の鼠径ヘルニア(脱腸)手術が開放手術で行われていますが、この研究結果により、今後TAPP法のような腹腔鏡手術が増える可能性があります。特に、高齢の方が多い日本では、TAPP法による早い回復と短い入院期間は大きなメリットになるでしょう。

研究の限界とさらなる研究の必要性

ただし、この研究にはいくつかの限界もあります。例えば、研究数が少なく、エジプトとスペインの病院のデータのみを使用しているため、日本の状況にそのまま当てはまるかどうかは不明です。また、医師の経験や技術の違いなども考慮されていません。

今後は、より大規模な研究や、日本での独自のデータ収集が必要になるでしょう。また、手術後の長期的な経過や生活の質についても、さらなる研究が期待されます。

当院での対応

当院では、この最新の研究結果を踏まえ、鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り腹腔鏡手術を専門に行っています。もし鼠径部(足の付け根)の違和感や膨らみを感じられたら、早めの受診をおすすめします。当院の経験豊富な医師が、最新の知見に基づいた最適な治療法をご提案いたします。

ご相談ください

鼠径ヘルニア(脱腸)でお悩みの方、また手術に不安をお持ちの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。皆様の健康と快適な生活のために、最善を尽くしてまいります。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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