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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

鼠径ヘルニア(脱腸)患者の腹壁筋に起こる変化:最新研究からわかったこと


皆さま、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックのブログをご覧いただき、ありがとうございます。今回は、鼠径ヘルニア(脱腸)に関する興味深い研究結果をご紹介します。

新しい研究の発見:腹壁筋の変化

最近、「Journal of Functional Morphology and Kinesiology」という学術誌に掲載された研究で、鼠径ヘルニア(脱腸)患者さんの腹壁筋に起こる変化について新しい発見がありました。

この研究では、健康な方6名、お腹の筋肉が離れてしまう「腹直筋離開」の患者さん5名、そして鼠径ヘルニア(脱腸)の患者さん4名を対象に、腹壁の筋肉の働きを比較しました。

研究方法とその結果

研究方法としては、筋肉の電気的な活動を測る「表面筋電図」という検査と、筋肉の厚さや状態を見る超音波検査を使用しました。また、息を止めたり、咳をしたり、肩を上げたりする動作をしてもらい、その際の筋肉の動きを観察しました。

結果として、鼠径ヘルニア(脱腸)の患者さんでは、腹壁の筋肉の電気的な活動が増加していることがわかりました。これは、ヘルニアがある状態では、体が自然と筋肉を多く使おうとしている可能性を示しています。

また、咳をする時の筋肉の動きにも変化が見られました。これらの変化は、普段の診察では気づきにくいものですが、体の中で確かに起こっていることがわかりました。

研究の限界と今後の課題

この研究には限界もあります。例えば、参加者の人数が少なかったことや、筋電図検査の特性上、皮下脂肪の影響を受けやすいことなどです。そのため、今後さらに大規模な研究が必要とされています。

当院の取り組みとメッセージ

当院では、この研究で使用された筋電図による評価は行っておりませんが、鼠径ヘルニア(脱腸)患者さんの体に、目に見えない変化が起きていることがわかった点は非常に興味深い結果だと考えています。

鼠径ヘルニア(脱腸)は、放置すると症状が悪化する可能性があります。もし鼠径部(足の付け根)に違和感や膨らみを感じられたら、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。

日帰り腹腔鏡手術と最新の治療法

当クリニックでは、鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り腹腔鏡手術を専門に行っています。最新の研究結果を踏まえつつ、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供しています。ご心配な点やご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。



体の変化に気づくことが大切です

健康で快適な毎日を送るために、体の小さな変化にも注意を払いましょう。当クリニックは、皆さまの健康をサポートしてまいります。


著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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