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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

鼠径ヘルニア(脱腸)治療の新たな展開:軽量メッシュの可能性


ご挨拶

皆さま、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニア(脱腸)MIDSクリニックのブログをご覧いただき、ありがとうございます。今回は、鼠径ヘルニア(脱腸)の治療に使用されるメッシュについての最新の研究結果をご紹介します。

イタリアのシエナ大学による最新研究

イタリアのシエナ大学の研究チームが行った興味深い研究が、最近発表されました。この研究は、鼠径ヘルニア(脱腸)の修復手術に使用される2種類のメッシュ(網)の効果を比較したものです。

研究の概要

  • 目的: 軽量ポリプロピレン(LW-PP)メッシュと重量ポリプロピレン(HW-PP)メッシュの効果を比較
  • 方法: 200人の患者さんを対象に、手術前と手術1年後の生活の質を調査

研究結果

  • 手術30日後では、両方のメッシュに大きな差はありませんでした。
  • 1年後では、軽量メッシュを使用した患者さんの方が、日常生活の制限が少なく、快適性が高く、全体的な健康状態が良好な傾向がありました。
  • 重量メッシュを使用した患者さんでは、睡眠障害や日常生活への影響がやや多い傾向がありました。

結論と日本の状況

この研究結果は、軽量メッシュが患者さんの術後の生活の質を向上させる可能性を示唆しています。また、患者さん一人一人の状態に合わせてメッシュを選択することの重要性も強調されています。

日本における影響

  • 高齢化社会の日本では、手術後の生活の質を重視することがますます重要になっています。
  • 医療費削減が求められる中、効果的で経済的な治療法として注目される可能性があります。
  • 日本人の体格に合ったメッシュの研究につながる可能性があります。

研究の限界と今後の期待

ただし、この研究には限界もあります。例えば、対象が開放手術のみであることや、サンプル数が限られていることなどです。今後、より大規模な研究や長期的な追跡調査が期待されます。

当院での取り組み

当院では、最新の研究結果を常に注視し、患者さん一人一人に最適な治療法を提供するよう努めています。鼠径ヘルニア(脱腸)でお悩みの方、または気になる症状がある方は、ぜひ当院にご相談ください。日帰りの腹腔鏡手術を専門としており、患者さんの負担を最小限に抑えながら、効果的な治療を行っています。

お気軽にお問い合わせください。皆さまの健康と快適な生活のために、私たちがサポートいたします。

鼠径部(足の付け根)の膨らみやしこりが気になる方は、鼠径ヘルニアの可能性があります。当院では平日21時まで診療を行っており、土日祝日も対応可能です。電話やLINEで24時間ご相談を受け付けておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。



[出典: Calomino N, et al. "Weighing the Benefits: Exploring the Differential Effects of Light-weight and Heavy-weight Polypropylene Meshes in Inguinal Hernia Repair in a Retrospective Cohort Study" Am J Surg. 2024 Sep 7:238:115950. doi: 10.1016/j.amjsurg.2024.115950. Online ahead of print.]

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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