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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

【鼠径ヘルニアガイドライン連載】遺伝子と鼠径ヘルニアの関係:研究からわかること

日本ヘルニア学会ガイドライン作成検討委員会 鼠径部ヘルニアガイドライン 金原出版 

今回は、2024年の鼠径部ヘルニア診療ガイドラインで引用されている、重要な研究論文を紹介します。

紹介する論文

論文タイトル: 「Association of collagen type I alpha 1 gene polymorphism with inguinal hernia」
出典: Hernia (2014) 18:507-512

この研究は、鼠径ヘルニアと遺伝子の関係を明らかにしようとした画期的なものです。簡単に内容を解説していきましょう。

研究の目的

研究者たちは、コラーゲンという体の組織を作るタンパク質の遺伝子(COL1A1遺伝子)と鼠径ヘルニアの関係を調べました。

研究方法

  • 85名の鼠径ヘルニア患者と82名の健康な方を比較
  • 遺伝子検査を行い、特定の遺伝子パターン(Sp1結合部位多型)を調べました

主な発見

  • COL1A1遺伝子の特定のパターン(Ss遺伝子型)が、鼠径ヘルニア患者に多く見られました。
  • 鼠径ヘルニアの患者は、家族にもヘルニアがある人が多いことがわかりました。

研究の結論

  • COL1A1遺伝子の特定のパターンが、鼠径ヘルニアのリスクを高める可能性があります。
  • 家族歴も鼠径ヘルニアの重要なリスク因子であることが確認されました。

今後の課題

  • より多くの人を対象とした大規模な研究が必要です。
  • 他の遺伝子や環境要因との関係も調べる必要があります。

日本での応用可能性

  • 日本人でも同じ結果が得られるか、調査が必要です。
  • 将来的には、遺伝子検査でヘルニアのリスクを予測できるかもしれません。
  • 高齢化が進む日本での鼠径ヘルニア対策に役立つ可能性があります。

まとめ

この研究は、鼠径ヘルニアが単なる「穴が開く」病気ではなく、遺伝子レベルでの体質が関係している可能性を示しています。特に、家族にヘルニアの人がいる方は注意が必要かもしれません。

当院では、最新の研究成果を踏まえた上で、患者さん一人ひとりに合わせた治療を提供しています。鼠径部の違和感や膨らみが気になる方、ヘルニアの家族歴がある方は、お気軽にご相談ください。日帰りの腹腔鏡手術で、早期回復・早期社会復帰が可能です。

次回の記事もお楽しみに!

鼠径部(足の付け根)の膨らみ、しこりは鼠径ヘルニアかもしれません。平日は21時まで診療し、土日祝日も診療しております。電話やLINEで24時間相談を受け付けております。いつでもお気軽にご相談ください。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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