医師紹介・院長ブログ
- ホーム
- 医師紹介・院長ブログ
- 鼠径ヘルニア(脱腸)の診断:超音波検査の限界と正確な診断の重要性 - ガイドライン引用論文解説
鼠径ヘルニア(脱腸)の診断:超音波検査の限界と正確な診断の重要性 - ガイドライン引用論文解説
日本ヘルニア学会ガイドライン作成検討委員会 鼠径部ヘルニアガイドライン 金原出版
ご挨拶
皆さま、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。
鼠径部ヘルニア診療の進化
鼠径部ヘルニアは、一般的な外科的疾患でありながら、診断や治療法は日々進化しています。最新の知見を集約した「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン」は、この分野で最も信頼できる資料です。
本連載では、このガイドラインの基礎となった研究論文を紹介していきます。取り上げる論文は、専門医が慎重に選んだもので、現代の鼠径部ヘルニア診療の重要な基盤となっています。この連載を通じて、読者の皆様に最新の知見と、それがどのようにガイドラインに反映されているかをお伝えしていきます。
今回の論文紹介:超音波検査の精度
今回は、「The accuracy of ultrasound in the diagnosis of clinically occult groin hernias in adults(成人の臨床的に潜在的な鼠径ヘルニアの診断における超音波検査の精度)」というタイトルの論文について解説します。この研究は、European Radiology誌2005年15巻に掲載されました。
研究の目的
この研究の目的は、触診では分かりにくい鼠径ヘルニアの診断に、超音波検査がどれくらい役立つかを調べることでした。
研究方法
- 52人の患者さん(合計104の鼠径部)を対象に調査
- ヘルニアの症状はあるが、触診では確認できない患者さんを含む
- 超音波検査と造影剤を使ったレントゲン検査(ヘルニオグラフィー)を実施
- 一部の患者さんには手術も行い、実際にヘルニアがあるかを確認
主な結果
- 超音波検査は、ヘルニオグラフィーと比べて、ヘルニアを見つける能力(感度)が29%と低かった
- 手術で確認された12人のうち、超音波検査でヘルニアが分かったのはわずか3人だった
結論
- 触診では分かりにくい鼠径ヘルニアの診断において、超音波検査だけでは不十分
- 超音波検査で異常がなくても、症状が続く場合は更なる検査が必要
- ヘルニオグラフィーは92%の高い感度を示し、依然として有用な検査方法
この研究の重要な点は、超音波検査には限界があることを明らかにしたことです。以前の研究では、はっきりと分かるヘルニアを含む患者さんを対象にしていたため、超音波検査の精度が高く報告されていました。
まとめコメント
鼠径部の痛みやはり、違和感がある場合、超音波検査で異常がなくても安心せず、専門医の診察を受けることが大切です。当クリニックでは、最新の診断技術と豊富な経験を活かし、正確な診断と適切な治療を提供しています。
さらに、日帰りでの腹腔鏡手術も行っているため、早期発見・早期治療が可能です。少しでも気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの健康と快適な生活のために、私たちがサポートいたします。
鼠径部(足の付け根)の膨らみ、しこりは鼠径ヘルニアかもしれません。平日は21時まで診療し、土日祝日も診療しております。電話やLINEで24時間相談を受け付けております。いつでもお気軽にご相談ください。