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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長
鼠径ヘルニア手術後の対側発症リスクについて
こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。今回は、鼠径ヘルニア手術後の対側発症リスクについて、最新の研究結果をもとにお話しします。
新しい研究結果
2024年8月、医学雑誌「Surgical Endoscopy」に興味深い研究結果が発表されました。この研究は、片側の鼠径ヘルニア手術を受けた後、反対側にもヘルニアが発生するリスクについて調べたものです。
主な結果は以下の通りです:
- 手術後3年で約5%、5年で約8%、10年で約17%の患者さんに反対側のヘルニアが発生する可能性があります。
- 年齢や性別による大きな違いは見られませんでした。
この結果が意味すること
この結果は、鼠径ヘルニアの手術を受けた患者さんにとって重要な情報です。片側の手術を受けた後も、長期的には反対側にヘルニアが発生するリスクがあることを示しています。
しかし、この結果は予防的な両側手術を推奨するものではありません。なぜなら:
- 10年後でも83%の患者さんは反対側にヘルニアを発症していません。
- 不必要な手術によるリスク(慢性的な痛みなど)を避けるべきです。
当院の approach
当院では、この研究結果を踏まえて以下のようなアプローチを取っています:
- 個別化された治療計画: 患者さん一人ひとりの状況(年齢、体型、家族歴など)を考慮して、最適な治療計画を立てます。
- 詳細な術前診断: 超音波検査などを用いて、両側の鼠径部を綿密に検査します。
- TAPP法の活用: 腹腔鏡を用いたTAPP法では、手術中に対側の鼠径部も観察できるという大きな利点があります。
- 長期フォローアップ: 手術後も定期的な診察を行い、対側のヘルニア発症リスクを早期に発見します。
まとめ
鼠径ヘルニアの手術を受けた後も、反対側にヘルニアが発生するリスクがあることが分かりました。しかし、このリスクは個人差が大きく、すべての患者さんに予防的な両側手術が必要というわけではありません。
TAPP法では腹腔内からの観察を行うことにより、対側の鼠径部が健常であるかどうかを確認できるという大きなメリットがあります。TAPP法での日帰り腹腔鏡手術なら大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックに24時間365日いつでもご相談ください。