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鼠径ヘルニア
所 為然外科部長
術式選択:鼠径部切開法か腹腔鏡手術か
鼠径ヘルニアの手術で最も重要な事は、ヘルニア門にしっかりとメッシュを充てる事です。
メッシュの挿入方法ですが、鼠径部切開法か腹腔鏡手術、に大別できます。
鼠径部切開法に比べ、腹腔鏡手術は以下の4つのメリットがあるため、当院は腹腔鏡手術を第一選択としています。
1.両側を観察可能
術前のエコー検査で反対側にも鼠径ヘルニアが存在するかどうかを確認します。しかし、術前検査は完璧ではなく、見逃される反対側の鼠径ヘルニアは必ずあると考えます。
腹腔鏡手術は腹腔内から反対側の鼠径ヘルニアの有無を直接観察する事が可能です。
反対側にも鼠径ヘルニアがある場合、同時に手術する事が可能です。(両側手術と片側手術の手術費用は同じです。)
2.すべてのヘルニア門を覆える
鼠径部のヘルニアは外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニア、と3つあります。
鼠径部切開法ではそのうちの2つ、外鼠径ヘルニアと内鼠径ヘルニアのヘルニア門をメッシュで覆う事が可能です。
それに対して、腹腔鏡手術は3つのヘルニア門すべてをメッシュで覆う事が可能です。
3.感染を起こしにくい
術後感染は創部の皮下脂肪に生じます。
腹腔鏡手術は創部が小さいため、感染のリスクが低いです。
また、創部感染を生じたとしてもメッシュまで距離があるため、メッシュ感染に至る事はありません。
4.術後の回復
腸蠕動回復までの時間、初回歩行までの時間、経口摂取再開までの時間が早いと言われています。