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論文紹介:MRIによる虫垂炎の診断
皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。
本日ご紹介する論文は、小児における虫垂炎の診断に関する話です。
タイトル「Properties of ultrasound-rapid MRI clinical diagnostic pathway in suspected pediatric appendicitis-A prospective cohort study」
和訳すると「小児虫垂炎疑いにおける超音波-高速MRI臨床診断経路の特性-前向きコホート研究」
PMID:37453161(Google scholarでも見つけれます)
【目的】
救急外来における虫垂炎診断のためのUS-MRIパスウェイの診断精度を明らかにする。
【方法】
デザインは前向きコホート研究。
対象は虫垂炎疑いで超音波検査(US)を受け、その後再評価された4-17歳の健常児624例。
対象患者は超音波検査のみでは診断ができず、超高速MRIを受けて:陽性/陰性/診断不能に分類された。
偽陰性(虫垂炎の見逃し)、偽陽性(虫垂切除を受けたが炎症がなかった)、追加でCT検査をした、などの症例は診断が不正確だったと定義された。
主要アウトカムは超音波→MRIパスェウイによる虫垂炎の正確な診断の割合である。
【結果】
150/624例(24%)が虫垂炎であった;超音波で診断不能だったのは255例(40.9%)であった。
超音波→MRIパスェウイの小児139例(非診断117例、決定的US22例の後)のうち、137例[98.6%;95%CI 0.96-1.00]が臨床的に正確な結果を得た(CT1例、虫垂切除術陰性1例):
感度18/18[100%]、特異度119/121[98.3%]、陽性適中率18/20[90.5%]、陰性適中率119/119[100%]。
MRIの画像精度は134/139(96.4%)であった;MRIでの診断不能は3件だった。
アルゴリズム全体では、616/624例[98.7%(0.97-0.99)]で正確な転帰が得られた: 147/150例(98.0%)の虫垂炎症例は手術で確認された(CTで確認されたのは3例)。469/474例(98.9%)の虫垂炎陰性児は手術/CTを受けなかった。
【結論】
本研究ではUSで診断不能であった小児虫垂炎疑い例におけるUS-rapid-MRIパスウェイの高い臨床的正確性を示した。
[COMMENT]
虫垂炎の診断といえばCTであり、我々外科医がもっとも慣れている画像検査でもあります。筆者はCTでの虫垂炎診断を外した事がありません(たぶん)。日本でCTは非常に普及しているので、右下腹部痛→即CTが最近では一般的ではないかと思います。
ただ、放射線を避けたい患者様:成長期前の小児、妊婦
においては診断に苦労する事もしばしば。
こういう時はMRIが有用ですね。なかなか「虫垂炎でMRI撮りましょう」は理解されにくいようにも思いますが、機会があればぜひとも技師さんにお願いしてみたいと思いました。
MRIの診断によるベネフィットを受ける方は必ずいるでしょうから。