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鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

鼠径ヘルニアの初期症状について - 早期発見のために知っておくべきこと

鼠径ヘルニアの初期症状に気付かず、そのまま放置してしまうケースが増えています。

特に足の付け根の違和感や膨らみといった初期症状を、単なる疲れや筋肉痛と勘違いしてしまうことが少なくありません。

膨らみがあるのに何年も放置しているという方もおられることでしょう。

実際、日本国内では年間約15万人が手術を受けているとされていますが、症状に気付いていない方はさらに多いと考えられます。

本記事では、鼠径ヘルニアの初期症状について詳しく解説し、早期発見・早期治療の重要性についてお伝えします。

 

鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニアは、腹腔内の臓器(主に小腸や大網)が腹壁の脆弱部から皮下に脱出する状態を指します。

特に鼠径部(足の付け根、股関節の前面)に発生するものを鼠径ヘルニアと呼びます。

発症のメカニズムとしては、加齢による筋肉や結合組織の脆弱化が主な原因として挙げられます。

また、重い物の持ち上げなどによる腹圧の上昇や、先天的な要因による腹壁の脆弱性も関与します。

さらに、喫煙や肥満などの生活習慣要因も発症リスクを高めることが知られています。

 →鼠径ヘルニア(脱腸)についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。

 

鼠径ヘルニアの代表的な初期症状

最も特徴的な初期症状は、鼠径部の膨らみです。この膨らみは、立っているときや歩行時に特に目立ち、横になると自然に戻る傾向があります。

また、咳やくしゃみ、力むときに膨らみが顕著になることも特徴的です。

さらに、指で軽く押すと膨らみが消失する「用手還納性」という特徴があり、これは脱出した臓器が腹腔内に戻ることを示しています。

膨らみが明確になる前から、様々な違和感を感じることがあります。

立っているときや歩行時に鼠径部に違和感を感じたり、長時間の立ち仕事や重労働後に鈍い痛みを感じたりすることがあります。

また、体を動かしたときに鼠径部に引きつれるような感覚を覚えることもあります。

 

見逃されやすい症状とリスク要因

 

場合によっては症状が分かりにくく発見が遅れることがあります。

皮下脂肪が多い場合は膨らみが外見から確認しにくくなります。

また、活動量が少ない場合は症状が出にくく、発見が遅れる可能性があります。

さらに、筋肉痛や疲労と混同されやすいという特徴もあります。

特に注意が必要なのは、高齢者や重労働従事者、慢性的な咳がある方々です。

加齢による組織の脆弱化や、継続的な腹圧上昇により発症リスクが高まるためです。

 

早期発見・治療の重要性

 

嵌頓のリスクと症状

鼠径ヘルニアを放置すると、最も懸念される合併症として嵌頓があります。

嵌頓とは、脱出した腸管が戻らなくなり、血流が途絶える状態を指します。

嵌頓が発生すると、以下のような重篤な症状が現れます:

 

鼠径部の膨らみが硬くなる

鼠径部の膨らみが押しても戻らなくなる

強い痛みや嘔吐

腹部膨満

 

このような時には緊急手術が必要となる場合があります。すぐに医療機関を受診しましょう。

 

早期治療のメリット

計画的な手術を行うことで、多くのメリットが得られます。

待機手術により十分な術前評価が可能となり、合併症リスクを低減できます。

また、患者さんの都合に合わせて手術時期を選択できることも大きな利点です。

術後の回復もスムーズで、早期の社会復帰が期待できます。

 

診断と治療について

診断は主に視診・触診から始まります。医師が実際に患部を観察し、触れることで状態を確認します。

必要に応じて超音波検査やCT検査などの画像診断を行い、より詳細な状態把握を行います。

現在唯一の治療法は手術です。手術方法には腹腔鏡下手術と前方アプローチ手術があり、当院では主に腹腔鏡下手術を採用しています。

 

予防と日常生活の注意点

予防的な取り組みとして、適正体重の維持が重要です。

過度な体重増加は腹圧を上昇させ、発症リスクを高めます。

ただし逆に痩せすぎも鼠径ヘルニアのリスクになるという報告もありますので、何事も適度に行うことが重要だと思います。

また、喫煙は組織の脆弱化を促進するため、禁煙も重要な予防策となります。

便秘の予防も腹圧を上げないための一つの方法と言えるでしょう。

 

まとめ

鼠径ヘルニアは、早期発見・早期治療が重要な疾患です。

 

鼠径部の違和感や膨らみを感じた場合は、ためらわずに専門医への相談をお勧めします。

 

適切な診断と治療により、安全で確実な治療が可能です。

 

定期的な自己観察を通じて、異常の早期発見に努めましょう。

 

少しでも気になる症状がある場合は、専門医への相談をお勧めします。

 

当院は鼠径ヘルニア日帰り手術の専門クリニックです。

 

ご相談はお電話、lineから24時間365日受け付けております。お気軽にどうぞ。

 

情報提供元

大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック

所在地:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1丁目2番2-100号 大阪駅前第2ビル 1階

電話番号:06-6341-5570

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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