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妊娠中の鼠径ヘルニア(脱腸)は経過観察でも安全? - デンマークの大規模研究から -
出典: Primary ventral or groin hernia in pregnancy: a cohort study of 20,714 women (Hernia. 2017)
こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックの医師です。 本日は、妊婦さんの鼠径ヘルニア(脱腸)に関する貴重な研究をご紹介します。
研究の概要
デンマークの病院で実施された、2万人以上の妊婦さんを対象とした大規模な調査です。妊娠中のヘルニアの頻度や治療方針について、重要な知見が得られました。
主な発見
1. ヘルニアの発生頻度
- 鼠径ヘルニア(脱腸): 25人(0.12%)と非常に稀
- おへそヘルニア: 17人(0.08%)
2. 経過と治療結果
- 妊娠中に手術が必要になった方は0人
- 鼠径ヘルニア(脱腸)の方の約40%が出産後に自然に改善
- 残りの方も緊急手術が必要になることはなく、必要な場合は出産後に計画的な手術を実施
妊娠中のヘルニア手術について
妊娠中のヘルニア手術は、以下の理由から可能な限り避けることが推奨されています:
- 麻酔による胎児への影響
- 手術操作による子宮への刺激
- 手術後の安静による妊娠経過への影響
ただし、**絞扼(血流が途絶える状態)**など生命に関わる緊急事態の場合は、妊娠中でも手術が必要になることがあります。この研究では、そのような緊急手術が必要になったケースはありませんでした。
この研究から分かること
- 妊娠中の鼠径ヘルニア(脱腸)はとても珍しい病気です
- 妊娠中は経過観察で安全に過ごせる可能性が高いです
- 出産後に自然に良くなることもあります
当院からのアドバイス
妊娠中に鼠径部(足の付け根)の膨らみや違和感を感じた場合は、まずはご相談ください。当院では妊婦さんのヘルニアについても豊富な診療経験があり、安全な治療方針をご提案いたします。
妊娠中は原則として経過観察を行い、定期的な診察で状態を確認します。痛みなどの症状がある場合は、生活上の注意点もアドバイスさせていただきます。
また、出産後もヘルニアの症状が気になる方には、身体に優しい腹腔鏡手術(日帰り)をご提供しています。痛みが少なく、早期の職場・育児復帰が可能です。
お子様連れでも安心して手術を受けていただけます
当院では、小さなお子様連れのお母様の手術実績も豊富です。お母様の手術中は、ご家族やお子様が待機できる専用のお部屋をご用意しています。
手術は日帰りで完了し、創部も小さいため、お子様の抱っこなども比較的早期から可能です。育児中の方にも負担の少ない治療を提供させていただきます。手術のタイミングや術後の生活についても、ご家族の状況に合わせて丁寧にご説明いたします。
また、ご心配な点がございましたら、お子様の待機場所や過ごし方についても事前にご相談ください。スタッフ一同、お母様とご家族に寄り添った対応を心がけております。
ご心配な方は、お気軽に当院までご相談ください。妊娠中のヘルニアは稀な病気ですが、適切な診断と治療方針の決定が重要です。お子様連れでのご相談・受診も歓迎いたします。