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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

膀胱が脱出する珍しい鼠径ヘルニア(脱腸)の症例をご紹介します


こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックの医師ブログです。

今回は、最新の医学雑誌『Cureus』(2024年9月号)に掲載された、珍しい鼠径ヘルニアの症例についてご紹介します。

どんな症例?

75歳の男性患者さんに発生した、膀胱が脱出する鼠径ヘルニアのケースです。通常の鼠径ヘルニアでは腸が脱出することが多いのですが、この方の場合は膀胱が脱出するという珍しいタイプでした。さらに陰嚢水腫(陰嚢に水がたまる状態)も併発していました。

主な症状は?

患者さんは以下のような症状を訴えていました:

  • 左側の鼠径部(足の付け根)の腫れ
  • 押し戻せない(還納できない)状態
  • トイレが近い(頻尿)
  • 尿が出切らない感じ(排尿困難)

診断と治療

CTスキャンで膀胱の脱出を確認し、開放手術で修復を行いました。手術後6時間で排尿の症状が改善し、3日後には退院できたそうです。

この症例から分かること

  1. 鼠径ヘルニアの中でも**膀胱が脱出するタイプは1-3%**と珍しい
  2. 特に50歳以上の肥満の男性では発生率が10%まで上昇
  3. 術前の正確な診断が重要
  4. 適切な治療で良好な結果が得られる

日本の医療における意義

高齢化が進む日本では、今後このようなケースが増える可能性があります。幸い、日本の医療機関では充実した検査設備があり、早期発見・治療が可能です。

まとめ

鼠径ヘルニアには様々なタイプがあり、中には今回のような珍しいケースもあります。早期発見・早期治療が何より重要です。

当院では、最新の腹腔鏡手術技術を用いて、日帰り手術で鼠径ヘルニアを治療しています。足の付け根の違和感や腫れでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

【出典】 Chandak P, Ingole A, Chandak KB. A Rare Case of an Irreducible Inguinoscrotal Hernia (Scrotal Cystocele) With a Left Vaginal Hydrocele: A Case Report. Cureus. 2024;16(9):e69413.

※鼠径ヘルニアでお悩みの方は、早めの受診をお勧めします。当院では丁寧な検査と診断を行い、患者さんに最適な治療法をご提案いたします。まずは無料相談からどうぞ。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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