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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

最新の研究で判明!メッシュを固定しない鼠径ヘルニア(脱腸)手術の安全性と利点

はじめに

鼠径ヘルニア(脱腸)の手術において、人工補強材(メッシュ)を使用する方法が標準的となっていますが、そのメッシュを固定するか、しないかについて、新たな研究結果が発表されました。今回は、この最新の研究についてわかりやすく解説させていただきます。

研究の概要

本研究は、BMC Surgery(2024年)に掲載された、9つの臨床研究を統合した大規模な分析です。世界中の1,879名の患者さんのデータを詳しく検討しています。

研究でわかったこと

1. 安全性について

  • 手術後の腫れ(漿液腫):固定しない方が少ない
  • 術後の痛み:固定しない方が痛みが少ない
  • 再発率:固定の有無で差がない
  • 合併症:固定の有無で差がない

2. メリット

  • 痛みが少ない
  • 費用が抑えられる
  • 手術時間が短縮できる

当院での取り組み

当院では、この研究結果に注目しつつも、メッシュ非固定の安全性についてはさらなる研究による検証が必要と考えています。そのため現在は、患者さんの安全性を第一に考え、従来のタッカーによる固定ではなく、術後の痛みが少ない縫合によるメッシュ固定を標準術式として採用しています。

腹腔鏡手術の専門施設として、常に最新の医学的エビデンスに基づいた治療を提供することを心がけており、新しい治療法についても慎重に評価・検討を行っています。

まとめ

メッシュを固定しない手術方法は、痛みが少なく経済的である可能性が示唆されました。しかし、さらなる研究による安全性の検証が必要です。当院では、疼痛にも配慮した固定法である縫合固定法を用いることで、患者さんの負担を最小限に抑えながら、確実な治療を提供しています。

 

受診をお考えの方へ

鼠径ヘルニア(脱腸)でお悩みの方は、まずは当院にご相談ください。経験豊富な専門医が、最新の治療法を含めた詳しい説明と、あなたに最適な治療法をご提案させていただきます。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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