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虫垂炎論文紹介
田村 卓也院長

虫垂炎の新たな研究結果:40歳以上の方は要注意!

こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックの院長、佐々木です。今回は、虫垂炎に関する最新の研究結果についてお話しします。この内容は、2024年10月6日発行の「World Journal of Clinical Cases」に掲載された論文「Risk of appendiceal neoplasm in patients with appendix disorders」(Ferrara F, Peltrini R著)を基にしています。

虫垂炎の危険性

虫垂炎は誰にでも起こりうる病気ですが、実はその中に隠れた危険性があることをご存知でしょうか?

研究結果のポイント

  1. 虫垂炎になる確率は生涯で7-8%程度です。
  2. そのうち2-7%の方が複雑性虫垂炎(重症化したもの)を発症します。
  3. 驚くべきことに、虫垂腫瘍(がんを含む)が見逃される可能性が最大11%もあります。
  4. 特に40歳以上の方は、虫垂がんのリスクが高くなります。
  5. コロナ禍では、虫垂切除手術が減少し、重症化するケースが増えました。

研究結果から分かること

この研究結果から、以下のことが重要だと分かりました:

  • 虫垂炎の症状がある方、特に40歳以上の方は、より慎重な診断と適切な治療が必要です。
  • 手術をせずに様子を見る場合は、慎重に患者さんを選ぶ必要があります。
  • リスクの高い方には、より詳しい検査をお勧めします。

日本の状況と高齢者への影響

  • 高齢化が進む日本では、40歳以上の方への注意深い診断がますます重要になります。
  • 日本の医療システムに合わせた治療方法の検討が必要です。
  • 日本人の虫垂腫瘍の発生率や危険因子についての研究も求められます。
  • 虫垂炎の診断・治療ガイドラインの見直しも検討すべきでしょう。

当院からのメッセージ

虫垂炎の症状(右下腹部の痛み、発熱、吐き気など)がある方、特に40歳以上の方は、できるだけ早く医療機関を受診することをお勧めします。当院では、患者さんの状態に応じて、安全で負担の少ない待機的日帰り腹腔鏡手術を行っています。

早期発見・早期治療が、合併症や重症化のリスクを減らす鍵となります。少しでも気になる症状があれば、遠慮なくご相談ください。あなたの健康を守るために、私たちがサポートいたします。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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