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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

鼠径ヘルニア(脱腸)手術:女性患者さんへの配慮の重要性


大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックのブログをご覧の皆様、こんにちは。今回は、鼠径ヘルニア(脱腸)の手術における性差に関する最新の研究結果についてお伝えします。

最新研究「患者の性別が鼠径ヘルニア手術に与える影響」

最近、「World Journal of Surgery」誌に掲載された**「Impact of patient's sex on groin hernia repair: A systematic review and meta‐analysis」**という研究論文が、鼠径ヘルニア(脱腸)の手術結果に性別が影響を与える可能性を示しました。

研究概要

この研究では、29の先行研究を分析し、約124万人の患者さんのデータを調査しました。その結果、以下のことが明らかになりました:

女性患者に多いリスク

女性の患者さんは、男性と比べて以下のリスクが高い傾向にあります:

  • ヘルニアの再発
  • 慢性的な痛み
  • 手術部位の感染

また、驚くべきことに、女性の患者さんは最小侵襲手術(腹腔鏡手術など)を受ける機会が少ないことがわかりました。

性別による死亡率の違い

死亡率に関しては男女で大きな差はありませんでしたが、女性でやや高い傾向が見られました。

性別に基づいた治療の必要性

この研究結果は、鼠径ヘルニア(脱腸)の治療において、性別に基づいたアプローチの必要性を示唆しています。特に、女性の患者さんに対しては、より慎重な術後ケアや、最小侵襲手術の積極的な適用を検討する必要があるかもしれません。

研究の限界と今後の課題

ただし、この研究にはいくつかの限界もあります。例えば:

  • 女性の患者データが全体の7%しかないこと
  • さまざまな手術技術が混在していること

今後は、女性に特化した研究や、最小侵襲手術と開放手術の比較研究などが必要とされています。

当院での取り組み

当院では、この研究結果を踏まえ、すべての患者さんに最適な治療を提供できるよう努めています。特に、鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り腹腔鏡手術を専門としており、最小侵襲で安全な手術を心がけています。

鼠径ヘルニアの症状にお悩みの方へ

もし鼠径ヘルニア(脱腸)の症状でお悩みの方、特に女性の患者さんは、早めの受診をおすすめします。当院では、個々の患者さんの状況に合わせた最適な治療法をご提案いたします。安心して専門医にご相談ください。

最新の医療と共に

皆様の健康と快適な生活のために、私たちは常に最新の医学知識と技術の向上に努めてまいります。ご質問やご相談がありましたら、お気軽に当院までお問い合わせください。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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