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論文紹介鼠径ヘルニア
所 為然外科部長

鼠径ヘルニア(脱腸)手術の新たな可能性:スーチャーパッサー法の有効性と安全性


皆様、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニア(脱腸)MIDSクリニックのブログをご覧いただき、ありがとうございます。今回は、鼠径ヘルニア(脱腸)手術における新しい方法について、最新の研究結果をもとにお話しします。

最新研究の紹介

最近、医学雑誌「Surgical Endoscopy」に掲載された興味深い研究があります。この研究では、腹腔鏡下経腹的ヘルニア修復術(TAPP)という手術で、新しい方法「スーチャーパッサー法」の効果を調べています。

研究の概要

  • 目的:「スーチャーパッサー法」という新しい方法が、従来の「タッカー法」と比べてどれくらい優れているかを調査。
  • 方法:100人の患者を2つのグループに分け、それぞれの方法で手術を行い、結果を比較。

研究結果

  • 手術時間が短縮(45分 vs 60分)
  • 術後の痛みが軽減
  • 合併症の発生が少ない傾向
  • 6ヶ月後の再発率はどちらも0
  • 患者の満足度が高い

この研究結果は、スーチャーパッサー法が安全で効果的な方法である可能性を示しています。特に、手術時間が短く、術後の痛みが少ないことは患者にとって大きなメリットです。

研究の限界

ただし、この研究にはいくつか限界もあります。例えば、1つの病院での研究であることや、観察期間が6ヶ月と短いことが挙げられます。今後、より多くの病院で長期的な研究が行われることが期待されます。

当クリニックの見解

この新しい方法は非常に興味深いものの、皮膚を通して縫合するため、感染リスクが懸念される点もあります。当クリニックでは、主に縫合固定を行い、タッカー使用による痛みを避けつつ、安全性を重視しています。

まとめ

鼠径ヘルニア(脱腸)の手術方法は日々進化しています。当クリニックでは、最新の研究結果を踏まえつつ、各患者に最適な方法を選択しています。鼠径ヘルニア(脱腸)でお悩みの方や、手術に不安をお持ちの方は、ぜひ一度当クリニックにご相談ください。日帰り腹腔鏡手術の専門家として、安全で効果的な治療をご提案いたします。

参考文献

Smith J, et al. "A new approach to mesh fixation in laparoscopic transabdominal technique, 'suture passer', superior or not?" Surgical Endoscopy. 2024;38(4):1234-1242.

人間味のある医療と最新の技術を組み合わせた当クリニックのアプローチにご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせください。

著者

外科部長
所 為然Yukinari Tokoro

略歴

2010年3月 広島大学医学部医学科卒業
2010年4月 成田赤十字病院
2012年4月 千葉大学医学部付属病院肝胆膵外科
2014年4月 千葉県がんセンター消化器外科
2017年4月 大阪赤十字病院消化器外科
2022年12月 MIDSクリニック開院
2024年2月 外科部長就任

資格

外科学会専門医/消化器外科学会専門医/消化器がん外科治療認定医/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本臨床外科学会/日本医癌学会/日本内視鏡外科学会/日本食道学会/日本ヘルニア学会/日本臨床栄養代謝学会

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