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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

食事とヘルニアリスクの関係:最新研究から分かったこと

食事とヘルニアリスクに関する最新研究

みなさん、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックの院長です。今日は、食事とヘルニアリスクに関する最新の研究結果についてお話しします。

研究の背景

最近、イギリスとフィンランドの大規模な健康データベースを用いた興味深い研究が発表されました。この研究は、食事の習慣がヘルニアのリスクにどのように影響するかを調べたものです。

研究結果の概要

研究の主な結果は以下の通りです:

  • アルコール摂取:週当たりのアルコール摂取量が多いと、鼠径ヘルニア(脱腸)のリスクが低下する可能性があります。しかし、アルコールを頻繁に飲むと、腹壁ヘルニアのリスクが増加する可能性があります。
  • 魚の摂取:非油性の魚をよく食べると、鼠径ヘルニア(脱腸)のリスクが増加する可能性があります。
  • 塩の摂取:食事に塩を多く加えると、臍ヘルニア(でべそ)のリスクが増加する可能性があります。
  • チーズや乾燥果物の摂取:チーズや乾燥果物をよく食べると、腹壁ヘルニアのリスクが低下する可能性があります。
  • 野菜の摂取:調理した野菜をよく食べると、腹壁ヘルニアのリスクが増加する可能性があります。

研究手法と限界

この研究は、「メンデルランダム化法」という特殊な方法を使って、食事とヘルニアの関係を調べました。この方法により、これまでの研究では難しかった因果関係の推定が可能になりました。

ただし、この研究にはいくつかの限界もあります。例えば、主にヨーロッパの人々のデータを使用しているため、日本人にそのまま当てはまるかどうかは分かりません。また、年齢や性別による違いも詳しく調べられていません。

今後の研究の必要性

今後は、日本人の食生活に合わせた研究や、年齢・性別ごとの詳しい分析が必要だと考えられます。これにより、日本人に適したヘルニア予防のための食事指導ができるようになるかもしれません。

まとめ

最後に、この研究結果は興味深いものですが、個人の食生活を急激に変える必要はありません。ヘルニアの症状が気になる方は、まずは専門医の診察を受けることをおすすめします。当院では、鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り腹腔鏡手術を専門に行っています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

鼠径部(足の付け根)の膨らみやしこりが気になる方は、鼠径ヘルニアの可能性があります。当院では平日21時まで診療を行っており、土日祝日も対応可能です。電話やLINEで24時間ご相談を受け付けておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。

 

参考文献
Yang, Y., Han, B., & Yang, W. (2024). Diet and risk for hernia: a Mendelian randomization analysis. Frontiers in Nutrition, 11, 1265920.

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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