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虫垂炎論文紹介
田村 卓也院長

急性虫垂炎の手術で見つかる腫瘍:最新研究が示す意外な発見率


急性虫垂炎の治療に関する最新の研究結果

皆さま、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックの院長です。今日は、急性虫垂炎の治療に関する最新の研究結果についてお話しします。

興味深い研究論文の紹介

最近、Irish Journal of Medical Scienceに掲載された研究論文「The incidence of incidental neoplasia in pathology samples of patient who underwent appendectomy due to acute appendicitis. A single center experience: 6446 cases」の内容が非常に興味深いものでしたので、ご紹介します。

研究結果の概要

この研究では、急性虫垂炎で手術を受けた患者さんの病理検査結果を分析しました。驚くべきことに、6,446人の患者さんのうち93人(1.44%)に腫瘍が見つかったのです。これは決して無視できない数字です。

腫瘍の発見状況

さらに興味深いのは、術前の画像診断では9.7%、手術中でも6.5%の患者さんでしか腫瘍の疑いが持たれなかったということです。つまり、多くの腫瘍は手術をして初めて発見されたのです。

見つかった腫瘍の種類

  • 最も多かったのは神経内分泌腫瘍(40.9%)
  • 次いで粘液性腫瘍(29%)
  • 鋸歯状腺腫(15%)
  • 腺癌(6.5%)

この研究が示唆すること

この研究結果は、急性虫垂炎の治療方法を考える上で重要な示唆を与えてくれます。近年、抗生物質による保存的治療が増えていますが、この方法では腫瘍を見逃してしまう可能性があります。虫垂腫瘍は、実際に切除して調べてみないと診断できないのです。

特に日本のような高齢化社会では、高齢者の虫垂腫瘍リスクに注意を払う必要があります。また、この研究は病理検査の重要性も再確認させてくれました。

当院での取り組み

当院では、このような研究結果を踏まえ、安全で確実な治療を提供するために、待機的な日帰り腹腔鏡手術を行っています。もし急性虫垂炎の症状がある場合、できるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。当院では、最新の知見に基づいた適切な治療方針をご提案いたします。

皆さまの健康と安全のために

皆さまの健康と安全を第一に考え、これからも最新の医学情報を取り入れながら、質の高い医療を提供してまいります。ご不安な点やご質問がありましたら、いつでもご相談ください。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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