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虫垂炎論文紹介
田村 卓也院長

大腸内視鏡検査後の虫垂炎:知っておくべき稀な合併症


大腸内視鏡検査後に起こりうる珍しい合併症について

みなさん、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。今回は、大腸内視鏡検査後に起こりうる珍しい合併症について、最新の研究結果をもとにお話しします。

最新研究:Post-colonoscopy appendicitis

最近、医学雑誌「Asian Journal of Surgery」に掲載された「Post-colonoscopy appendicitis: A systematic review」という論文を読みました。この研究は、大腸内視鏡検査後に発症する虫垂炎(PCA)について詳しく調べたものです。研究の主なポイントは以下の通りです:

  • PCAは珍しいが見逃せない合併症
  • 56の論文から67人の患者データを分析
  • 患者の平均年齢は約55歳で、男性が多い
  • 大腸内視鏡検査の目的:異常の有無を調べる検査、がん検診、経過観察など
  • 症状の発症タイミング:多くの患者さんが検査後2日以内に症状を感じた
  • 診断方法:CTスキャンや超音波検査が役立つ
  • 治療法:多くの場合、手術で治療。薬物治療のみで回復したケースもあり

PCAに気をつけるポイント

この研究から分かることは、大腸内視鏡検査後に強い腹痛や発熱、吐き気、嘔吐などの症状が出たら、すぐに医療機関を受診することが大切だということです。早めに適切な診断と治療を受けることで、より良い結果につながります。

日本における意義と今後の課題

日本は大腸がん検診をよく行う国なので、この研究結果は私たち日本人にとって特に重要です。ただし、大腸内視鏡検査自体が直接虫垂炎を引き起こすのか、それとも単なる偶然なのかは、まだはっきりしていません。今後の研究でさらに詳しいことが分かるかもしれません。

当院の対応について

当院では、虫垂炎の日帰り腹腔鏡手術を行っています。もし大腸内視鏡検査を受けた後に気になる症状がある場合は、遠慮なくご相談ください。早めの対応が大切です。みなさんの健康を守るために、私たちは常に最新の医療情報を学び、最善の治療を提供できるよう努めています。

参考文献

Tepelenis K, et al. Post-colonoscopy appendicitis: A systematic review. Asian Journal of Surgery. 2024.

健康で安心な毎日を過ごせますように。また新しい情報がありましたら、このブログでお伝えしていきます。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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