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虫垂炎論文紹介
田村 卓也院長

高齢者の虫垂炎治療:日帰り手術の可能性と個別化アプローチの重要性

皆様、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックのブログをご覧いただき、ありがとうございます。今回は、高齢者の虫垂炎治療に関する最新の研究結果と、当クリニックでの日帰り手術の取り組みについてお話しします。

最新の研究報告

最近、アメリカの医学雑誌「JAMA Network Open」に掲載された研究が、高齢者の虫垂炎治療において非常に興味深い結果を報告しました。この研究は、65歳以上の方々24,320名の虫垂炎治療データを分析したものです。

研究のポイント

  • 高齢者の虫垂炎治療では、その方の「虚弱状態」(体の弱さ)を考慮することが大切です。
  • 虚弱な高齢者では、手術を遅らせるよりも早めに行う方が良い結果につながる可能性があります。
  • 一方、虚弱でない高齢者では、抗生物質などによる保存的治療も選択肢となりえます。

研究の限界

  • この研究は入院患者さんのみを対象としており、日帰り手術には直接適用できません。
  • 虫垂炎は、手術をしない限り再発する可能性がある病気です。

当クリニックでの日帰り手術の利点

  • 院内感染リスクの減少: 入院期間が短いため、病院内での感染リスクが低くなります。
  • 認知症悪化リスクの減少: 慣れた自宅環境に早く戻れるため、高齢者の方の認知機能への悪影響を最小限に抑えられます。
  • 早期回復: 日常生活への早期復帰が可能です。

高齢者でも安全な日帰り手術

私たちのクリニックでは、状態の安定した方を対象に日帰りでの腹腔鏡手術を行っています。高齢の方でも、適切な評価と準備があれば、安全に日帰り手術を受けていただける場合が多いのです。

早期受診の重要性

虫垂炎の症状(お腹の痛みや発熱など)がある場合、年齢に関わらず早めに医療機関を受診することが大切です。特に高齢の方は、体の状態によって最適な治療方法が異なる可能性があるため、専門医の診断を受けることが重要です。

まとめとご相談

当クリニックでは、患者さん一人ひとりの状態を丁寧に評価し、最適な治療方法をご提案しています。入院を避けたい、でも確実に治療したいという方にとって、日帰り手術は魅力的な選択肢かもしれません。虫垂炎の症状でお悩みの方、または予防的に相談したい方は、どうぞお気軽にご連絡ください。

結論:早期発見・早期治療の重要性

健康で安心な毎日を送るためには、早期発見・早期治療が鍵となります。皆様のお役に立てることを願っています。

参考文献

Ashbrook M, et al. Outcomes Following Surgical and Nonsurgical Treatment for Uncomplicated Appendicitis in Older Adults. JAMA Netw Open. 2024;7(8)

 

. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.29820

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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