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手術既往のある方の腹腔鏡手術
腹腔鏡手術の普及
こんにちは大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。
鼠径ヘルニアのみではなく、様々な手術で腹腔鏡が用いられるようになり、
体への負担の少なさから同じことが出来るのであれば腹腔鏡を第一選択とするという風潮が強まっています。
腹腔鏡手術と癒着
腹腔鏡手術は1本目のポート(腹腔内へのアクセスをよくするための器具)が入ればたとえ腹腔内の癒着(臓器のひっつき)が高度でも手術自体は可能です。
この癒着は外傷なでできることもあるといわれていますが、腹部の手術により起きることがほとんどです。
つまり一度お腹の手術を受けた方の腹腔鏡手術の際には癒着に留意しながら最初の1本目のポートを入れる必要があります。
腹腔内癒着の術前スクリーニング
1月に発刊された日本内視鏡外科学会雑誌に癒着の術前および術後スクリーニングに関する興味深い記事が出ていました。
「診療看護師による超音波を用いた腹腔鏡手術前後の癒着マッピングの有用性について」 日鏡外会誌 第 28 巻 第 1 号・2023 年 1 月
手術チームの一員である診療看護師が術前ベッドサイドおよび術後の外来で超音波による癒着スクリーニングを実施し、その正診率を求めたというものです。
連続した60症例すべてで、腹部9か所に対してマッピングがおこなわれています。
呼吸性変動による臓器の移動を観察し、腹式呼吸による臓器の移動が2㎝未満の場合を癒着アリと判断したものです。
全体(60症例、540部位)で感度73.6% 特異度90.1% 正診率 87.8%
臍部のみに限ると感度90% 特異度90% 正診率90% と非常に高精度で予測が出来ています。
実際最初のポートは臍部から入ることが多いため、臍部を術前に確認するだけでも十分安全性は高まると言えます。
当院では腹部の手術既往のある方に対しても安全に腹腔鏡手術を施行可能です。一度ご相談ください。
文責 副院長 田村卓也