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嵌頓 -鼠径ヘルニアを放置すると-
皆様こんにちは、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。
この記事では "鼠径ヘルニアの嵌頓" について解説していきます。
鼠径ヘルニア(脱腸)とは?
体は筋肉という壁の覆われていますが、一枚板の筋肉ではなく、何枚かの筋肉が立体的に壁を構築しています。
鼠径部では筋肉に隙間が空いている箇所があります。
その隙間から腹膜が袋状に皮膚の下まで脱出するのが鼠径ヘルニアであり、袋の中に腸管が出ると患者様は「鼠径部が膨れた」と感じるわけです。
典型的な症状は、立ったり、お腹に力を入れたりすると鼠径部に膨らみが出て、横になると消失します。
鼠径ヘルニアの治療には手術が必要です。
(右側)小腸がヘルニア門から体壁外へ脱出している状態
鼠経ヘルニアは自然に治る?放置するとどうなるの?
皮下まで伸びた腹膜の袋(ヘルニア嚢)の中、腸管や膀胱が出たり入ったりすることはありますが、袋自体が自然に戻るという事はありえません。
つまり鼠径ヘルニアは自然治癒することはありません。
では放置するとどうなってしまうだろうか。
"出たっきり戻らなくなる状態" になってしまうことがあるんです。
この状態を「嵌頓」と呼びます。文字通り、嵌り込んで、頓挫した、の状態です。
人間の消化管は口からお尻まで一本の管となっています。
この管が途中で狭い空間に入り込んでしまったり、あるいは捻じれてしまうと、腸閉塞となります。イレウスともいいます。
腸閉塞になると、口から食べたものが通らなくなるが、消化液は延々と産生されてどんどん流れてきます。
すると、閉塞した部分にどんどん圧がかかり、腸管が壊死してしまい、腸管穿孔を引き起こします。
腸管穿孔すると、腸内容(=便)がお腹の中に散らばり、瞬く間に腹膜炎となってしまいます。
また、腹膜から細菌が血中に入り、敗血症にもなってしまいます。
こうなってしまっては緊急手術をしない限り、救命できません。
広範囲に洗浄する必要もあるので、大きくお腹を切開した開腹手術となり、術後もICUにしばらく入院が必要です。
鼠径ヘルニアは必ず嵌頓する?
では、鼠径ヘルニアになったら必ず嵌頓するのでしょうか。
具体的なデータはありませんが、おそらく約30%の方は嵌頓しないと思っています。
どういう方が嵌頓しないのだろうか。
一つはADLが落ちてから発症した方です。
日中の殆どの時間を寝て過ごす方であれば、嵌頓するリスクはかなり低いと言えます。
寝ている状態であれば、腹腔内からみた鼠径部の筋肉の欠損部(鼠径ヘルニア門)は天井の窓の言えます。
二つ目はヘルニア門が広い方です。
十分にヘルニア門が広ければ、どれだけ腸管が外に脱出しても戻らなくなる事はありません。
ただ、ヘルニア門が広いという事は、脱出する腸管の量も多くなるに等しいです。
そうなってしまうと、外から見た鼠径部の膨隆もどんどん大きくなります。
私たちは鼠径部膨隆の大きさを、「卓球大」「鶏卵大」「手拳大」「小児頭大」と表現します。
ヘルニア門が広い方は嵌頓こそしませんが、最終的には鼠径部にメロンを抱えた状態になってしまう事があります。
徒歩に支障をきたすだけでなく、下着の着用が困難になるリスクも生じます。
普通に生活している方で鼠径ヘルニアになった場合、必ず治療をすべきと考えます。
鼠径部にしこりと痛みを感じたら
当院は大阪駅直結の鼠径ヘルニアの日帰り手術を専門としたクリニックです。
消化器外科専門医と腹腔鏡外科技術認定医による安心安全の腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術を提供いたします。
平日は21時まで診療し、土日祝日も診療しております。
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