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妊娠と鼠径ヘルニア
診療をしていると以外に若い方の鼠径ヘルニアが多いことに気づきます。
ほとんどの方は子供のころから持っていて、最近気になり始めた、あるいは痛み等の症状が出始めたという訴えで受診されます。
また今までなかったのに出始めたという方もおられます。
その中でも妊婦の方や妊娠を機に鼠径部の膨らみに気づいたという方にも、ご相談いただいています。
妊娠中の体壁ヘルニア発症率
「Primary ventral or groin hernia in pregnancy: a cohort study of 20,714 women:Hernia (2017) 21:335–339」
2万人以上の妊婦を対象にした観察研究ですが、25人(0.12%)に鼠径ヘルニアの診断があったと報告されています。
この研究では鼠径ヘルニア以外の腹壁ヘルニア(臍ヘルニア等)の方も17人含まれておりました。
鼠径ヘルニアと腹壁ヘルニアを合わせた42人のうち、10人の方は分娩後に膨隆が消失したとのことでした。
妊娠して鼠径部のヘルニア門が開く、というよりは、妊娠により腹腔内圧が上昇し、体壁ヘルニアが顕在化しているのだと考えられます。
分娩後に症状消失する方もいらっしゃいますが、ヘルニアが治癒したわけではありません。
また、ご自身で気づいてない方もいると考えれば、妊娠を契機に発症する体壁ヘルニアはもっと多いんじゃないかと思います。
治療のタイミング
妊娠期間中は胎児への影響もあり、全身麻酔の手術はなるべく回避したいです。
不用意な全身麻酔の手術は流産や早産のリスク上昇につながってしまうからです。
当院では、分娩後の落ち着いたタイミングで再度受診いただき待機的手術を行うことをお勧めしています。
ただ、実際は待機期間中に不安なことがあったり、お子様が生まれた後も育児で忙しく受診するのもままならないという方も多いでしょう。
当院の工夫
私たちは小さなお子様をお連れの方にお使いいただけるよう個室のリカバリールームを設けております。
また、お子様とお連れ様が手術の間お待ちいただける託児スペースも用意しております(テレビ、冷暖房器具あり)。
また待期期間中のご相談もLINEでお気軽に行っていただくことが出来、ご不安が軽減できるよう努めております。