医師紹介・院長ブログ
- ホーム
- 医師紹介・院長ブログ
- 鼠径ヘルニアの疫学
鼠径ヘルニア
所 為然外科部長
鼠径ヘルニアの疫学
鼡径ヘルニアは圧倒的に男性に多い疾患です。男性の体の構造に理由があります。
男性器である精巣は胎児期にはお腹の中(背中側)にありますが、生まれてくるまでの間にほとんどの人は移動して陰嚢の中に納まります。これは精子の形成を正常に保つために、精巣を体の外に出して冷やすためであるといわれています。精巣は体の中から外に移動しますが、この時お腹の壁を突き抜ける部分が鼡径管と呼ばれるトンネルになっています。精巣は陰嚢に収まりますが、精巣に栄養を送る血管や、精子が通る精管は鼡径管を通じて体内とつながったままです。男性の体は鼡径管内に血管や精管が通っているため広く、また弱くなりやすくなっています。ちなみに女性では子宮円索という子宮を支える管が通っていますが、鼡径管は男性のものに比べて細くなっています。このことが男性と女性での鼡径ヘルニアの起きやすさの違いになっています。男性では生涯リスクは27~43%と言われており、3人に1人の男性が一生のうちに鼡径ヘルニアを経験するということになります。一方女性では3~6%程度と大きな差があります。
実は鼡径ヘルニアは私達人類が進化したために発生した疾患と言う説があります。人は二足歩行になることにより、手を自由に使えるようになり様々なものを生み出しました。現在の社会があるのは、2足歩行に進化したことによるものと言えるかもしれません。しかし、2足歩行により直立したことで、重力に従って内臓が足の方に下がり鼡径部に圧力がかかりやすくなりました。圧力がかかった結果、弱い部分(=鼡径部)が膨らみ内臓が飛び出した状態、つまり鼡径ヘルニアになったのではないかと言われています。諸説ありますが、これが鼡径ヘルニアの成り立ちに関する俗説の一つです。
手術の技術や道具も日々進化しております。私たちMIDSクリニックは、人類が自由になった手で習得した日帰り腹腔鏡手術により、鼡径ヘルニアでお困りの方の身体的ご負担、時間のご負担を最小限にしたいと考えております。
お困りの方はいつでもご相談ください。
一覧へ戻る