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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長
高齢女性でも安全な腹腔鏡手術!閉鎖孔ヘルニアと鼠径ヘルニア(脱腸)の最新治療法
【最新の研究論文より】 出典: Cureus誌 2024年9月22日掲載 "Total and Simultaneous Coverage Repair for the Obturator Hernia and Groin Hernias With One Large Mesh: A Case Report"
はじめに
高齢女性の**鼠径ヘルニア(脱腸)**治療においては閉鎖孔ヘルニアの存在を意識する必要があります。今回は閉鎖孔ヘルニアとの同時治療事例をご紹介します。
閉鎖孔ヘルニアについて詳しく
特徴と症状
- 閉鎖孔ヘルニアとは、骨盤の閉鎖孔(神経や血管が通る小さな穴)から腸が飛び出す状態です
- 特に痩せ型の高齢女性に多く見られます
- 太もも内側の痛みや違和感が特徴的な症状です
- お腹の症状が軽いため、発見が遅れることがあります
重要なポイント
- 🔹鼠径ヘルニア(脱腸)と同時に発症することがあります
- 🔹早期発見・治療が重要(放置すると腸が詰まる危険があります)
- 🔹CTによる診断が最も確実です
- 🔹女性の場合、鼠径部の違和感があれば閉鎖孔ヘルニアの可能性も考慮する必要があります
症例の概要
- 90歳代の日本人女性
- 主訴:下腹部の痛みと吐き気、右太もも内側の痛み
- 診断:CTスキャンで閉鎖孔ヘルニアを確認
- 手術時に鼠径ヘルニアの合併も発見
治療のポイント
- 早期発見・早期治療
- CTによる正確な診断
- 超音波を使用した痛みの少ない整復処置
- 緊急手術を回避
- 低侵襲な腹腔鏡手術(TAPP法)
- お腹に小さな穴を開けて行う手術
- 1枚の特殊なメッシュで複数のヘルニアを同時修復
- 手術時間の短縮と体への負担軽減
治療結果
- 術後14日で退院
- 3年間再発なし
- 高齢でも安全に手術可能
この治療法の意義
- 🔹高齢者にも優しい低侵襲手術
- 🔹複数のヘルニアを1回で治療
- 🔹早期社会復帰が可能
- 🔹長期的な治療効果
当院からのメッセージ
当院では、この研究で示された腹腔鏡手術(TAPP法)を日帰り手術で実施しております。高齢の方でも安心して手術を受けていただけるよう、個々の患者さんに合わせた丁寧な診療を心がけています。
特に以下の方は要注意!
- お腹や足の付け根に違和感や痛みがある
- 太もも内側に原因不明の痛みがある(特に痩せ型の女性)
- ヘルニアかもしれないと不安
- 年齢的に手術が心配 → このような方は、お早めに当院にご相談ください。