1. ホーム
  2. 医師紹介・院長ブログ
  3. 小児のアレルギーと虫垂炎の意外な関係 - 最新研究からわかったこと
虫垂炎論文紹介
田村 卓也院長

小児のアレルギーと虫垂炎の意外な関係 - 最新研究からわかったこと


はじめに

皆様こんにちは、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。今回は、小児の虫垂炎に関する興味深い研究結果をご紹介します。大人の方の治療を専門とする当院では直接関係ありませんが、医学の進歩として興味深い内容ですので、ご紹介させていただきます。

研究の背景

最近、スウェーデンの研究チームが「小児におけるIgE媒介アレルギーと複雑性虫垂炎リスクの関連」という論文を発表しました(JAMA Pediatrics, 2018年10月号掲載)。この研究で分かったことを、わかりやすくお伝えしていきます。

研究の概要

目的

アレルギーを持つ子どもは、重症の虫垂炎になりにくいのかを調べました。

方法

  • 10年間に虫垂炎の手術を受けた15歳未満の子ども605人を対象に調査。
  • 重症の虫垂炎(壊疽性、穿孔性、膿瘍形成性)かどうかを比較。

主な結果

  • アレルギーのある子どもの約20%が重症の虫垂炎を発症。
  • アレルギーのない子どもの約47%が重症の虫垂炎を発症。
  • つまり、アレルギーのある子どもは重症の虫垂炎になりにくいことが示されました。

結論

  • アレルギーがあると、重症の虫垂炎になりにくい可能性がある。
  • これは、アレルギーの人の免疫システムが虫垂炎の進行を抑える可能性を示唆しています。

研究の意義と限界

この研究結果は、虫垂炎の診断や治療に新しい視点をもたらす可能性があります。特に日本では、アレルギーを持つ方が多いので、この知見は重要かもしれません。

しかし、この研究にはいくつかの限界もあります。たとえば、アレルギーの情報が自己申告であったことや、すべての症例で詳細な検査が行われていなかった点などです。今後、さらなる研究が求められます。

当院からのメッセージ

当院は成人の患者様を対象としており、小児の手術は行っておりませんが、この研究結果は医学の進歩として大変興味深いものです。虫垂炎の症状(お腹の痛み、吐き気、発熱など)がある場合は、アレルギーの有無に関わらず、早めに適切な医療機関を受診することが大切です。

大人の方で鼠径ヘルニアや、待機的な虫垂炎の日帰り腹腔鏡手術をお考えの方は、当院にご相談ください。最新の医学知識と技術を活かし、患者様一人ひとりに最適な治療を提供いたします。

最後に

医学は日々進歩しています。私たちは常に最新の研究成果に注目し、より良い医療サービスの提供に努めてまいります。ご質問やご相談がございましたら、お気軽に当院までお問い合わせください。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

一覧へ戻る