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虫垂炎論文紹介
田村 卓也院長

虫垂炎手術の稀な合併症:血管との癒着に注意!


珍しい虫垂炎手術の合併症について

皆さま、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。今日は、虫垂炎手術に関する珍しい合併症について、最近発表された研究論文をもとにお話しします。

症例報告の紹介

最近、Journal of Medical Case Reportsに掲載された「Vascular complications during appendectomy: severe adhesion of the appendix to the right iliac artery: a case report」という論文を読みました。この研究では、65歳の男性患者さんの虫垂炎手術中に起こった珍しい合併症について報告されています。

手術中の血管癒着による出血

この症例では、虫垂(盲腸から出ている虫のしっぽのような部分)が、お腹の中の大きな血管(右内腸骨動脈)にくっついていました。手術中、この癒着を剥がそうとしたところ、大量の出血(約1.5リットル)が発生しました。幸い、血管外科の先生の助けを借りて出血を止めることができ、患者さんは数日間の集中治療を経て無事退院されました。

この症例から学べること

この症例から学べる重要なポイントは次の通りです:

  • 虫垂炎手術のリスク:まれに血管との癒着という思わぬ合併症が起こる可能性がある。
  • 癒着の原因:慢性的な炎症や生まれつきの異常が、このような癒着の原因になることがある。
  • 事前検査の重要性:手術前の詳しい検査と慎重な手術計画が大切です。

ただし、この研究はたった1人の患者さんの症例報告であるため、すべての虫垂炎手術にあてはまるわけではありません。

計画的な虫垂切除手術の推奨

私たちの病院では、虫垂炎が治まった後の計画的な虫垂切除手術をお勧めしています。今回の症例は緊急手術が必要だったようですが、炎症が落ち着いてからの手術なら、このような合併症のリスクを減らすことができます。

虫垂炎の早期対応の重要性

虫垂炎の症状(右下腹部の痛み、発熱など)がある方は、早めに病院を受診することをお勧めします。早期発見・早期治療が、安全な手術につながります。

当院での治療について

当院では、最新の腹腔鏡技術を用いた日帰り手術を行っています。虫垂炎でお悩みの方、また過去に虫垂炎を経験された方で、まだ虫垂を切除していない方は、ぜひ一度ご相談ください。

皆様の健康と安全な手術のために、私たちは常に最新の医療情報を学び、技術の向上に努めています。ご質問やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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