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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

肥満と鼠径ヘルニア(脱腸)手術:知っておくべき最新の研究結果

皆さま、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニア(脱腸)MIDSクリニックの院長です。今回は、鼠径ヘルニア(脱腸)手術と肥満の関係について、最新の研究結果をご紹介します。

米国の研究グループが行った大規模な調査が、医学雑誌「Hernia」に掲載されました。この研究は、肥満がヘルニア手術の結果にどのような影響を与えるかを詳しく調べたものです。

【研究の概要】

  • 対象:2010年から2021年の間に鼠径ヘルニア(脱腸)手術を受けた5,575人
  • 方法:BMI(体格指数)30以上を肥満と定義し、肥満群と非肥満群を比較

【主な結果】 肥満の患者さんは、そうでない方と比べて:

  1. 手術時間が長く、出血量が多い
  2. 術後の痛み止めの使用期間が長い
  3. 日常生活に戻るまでの時間がかかる
  4. 手術部位の感染率が高い(0.8%対0.3%)
  5. ヘルニアが再発する率が高い(4.2%対2.0%)
  6. 術後2年間にわたり生活の質が低い

この研究結果は、肥満の方が鼠径ヘルニア(脱腸)手術を受ける際に、より慎重な対応が必要であることを示しています。

【日本での意義】 日本でも肥満の方が増えている現在、この研究結果は私たち日本の医療者にとっても重要です。特に、以下の点が注目されます:

  • 手術前の体重管理の重要性
  • 肥満の方に適した手術方法の開発の必要性

【当院での対応】 当院では、この研究結果を踏まえ、以下のような対応を行っています:

  1. 術前の詳細な診察と体重管理のアドバイス
  2. 肥満の方に適した低侵襲な腹腔鏡手術の実施
  3. 術後のきめ細かいフォローアップ

鼠径ヘルニア(脱腸)でお悩みの方、特に体重が気になる方は、早めの受診をおすすめします。当院は日帰り腹腔鏡手術を専門としており、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案いたします。

ご不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。体重管理から手術、術後のケアまで、皆様の健康と快適な生活のために、当院スタッフ一同、全力でサポートいたします。

 

【参考文献】 Attaar M, et al. Higher rates of recurrence and worse quality of life in obese patients undergoing inguinal hernia repair. Hernia. 2024. DOI: 10.1007/s10029-024-03154-1

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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