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所 為然外科部長
最新の研究から見る鼠径ヘルニア手術:メッシュ固定法の比較
こんにちは大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。
鼠径ヘルニアの手術方法は日々進化しています。今回は、最新の研究結果をもとに、当院の方針についてご紹介いたします。
研究概要:TAPPにおけるメッシュ固定法の比較
本日紹介させていただく論文では、経腹的腹膜前修復術(TAPP)におけるメッシュ固定法について比較が行われました。この研究では、縫合糸と鋲(タック)の使用が術後の経過にどのような影響を与えるかが検討されています。
研究結果の詳細
主な結果は以下の通りです:
- 術後疼痛:鋲を使用した場合、24時間後と1週間後の疼痛が有意に強い結果となりました。
- 手術時間:鋲を使用した場合、手術時間が約25分短縮されました。
- 合併症(全体、漿液腫、血腫、尿閉):両群で有意差は認められませんでした。
- 入院期間:有意差はありませんでした。
メッシュ固定法と再発率について
興味深いことに、この論文ではメッシュの固定法と再発率の関係については詳しく論じられていませんが、他の研究ではメッシュの固定方法による再発率の差はないと報告されています。
当院の方針
当院では、これらの研究結果や他の報告を考慮し、以下の方針を採用しています:
- 鋲の使用を控える:日帰り手術への影響を考慮し、術後早期の疼痛が増加する可能性がある鋲の使用は控えています。
- 最適な方法の選択:基本的には縫合糸による固定を行いますが、患者さんの状態や手術の状況に応じて最適な方法を選択しています。
ご相談はお気軽に
手術方法の選択は、常に最新のエビデンスと患者さん一人ひとりの状態を考慮して行っています。鼠径ヘルニアでお悩みの方は、ぜひお気軽に当院にご相談ください。
鼠径部(足の付け根)の膨らみ、しこりは鼠径ヘルニアかもしれません。平日は21時まで診療し、土日祝日も診療しております。電話やLINEで24時間相談を受け付けております。いつでもお気軽にご相談ください。
【参考文献】
Surgical Endoscopy, 2024. 「Suture versus tacks in minimally invasive transabdominal preperitoneal inguinal repair: a meta‑analysis of randomized controlled trials」