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論文紹介鼠径ヘルニア
田村 卓也院長

喫煙が鼠径ヘルニア修復術の結果に与える影響について

こんにちは、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。今日は、新しい研究の結果についてご紹介します。この研究は、「喫煙が鼠径ヘルニア修復術の結果に与える影響」に関するものです。

論文タイトル

The impact of smoking on inguinal hernia repair outcomes: a meta‑analysis of multivariable‑adjusted studies
出典: Hernia, 2024

研究の目的

喫煙が手術後の結果に悪影響を与えることは知られていますが、特に鼠径ヘルニア修復術におけるリスクについては明確ではありませんでした。この研究の目的は、鼠径ヘルニア修復術を受けた患者に対する喫煙の影響を評価することです。

研究の方法

研究者たちは、PubMed、Embase、Cochraneのデータベースを系統的にレビューし、喫煙者と非喫煙者の手術後の結果を比較しました。転帰としては、ヘルニアの再発、術後の合併症、手術部位の感染が含まれました。これらの結果を多変量解析を用いて調整し、オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を計算しました。

研究の結果

この解析には11の研究が含まれ、合計577,901人の患者が対象となりました。そのうち77,226人(13.4%)が喫煙者でした。研究の結果、喫煙者は非喫煙者に比べてヘルニアの再発率が3倍高いことがわかりました(OR 2.95;95%CI 2.08~4.18;p<0.001)。一方で、術後の合併症や手術部位の感染に関しては、喫煙者と非喫煙者の間で有意な差は見られませんでした。

結論

喫煙は鼠径ヘルニアの再発率を3倍に増加させることが分かりました。したがって、手術前に禁煙することで再発を減少させる可能性がありますが、さらなる研究が必要です。

当院の取り組み

大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックでは、患者様の健康を第一に考え、最適な治療を提供しています。喫煙が手術結果に与える影響を理解し、禁煙を促進することで、より良い手術結果を目指しています。術前2週間、術後1週間だけお付き合いください。もちろん禁煙による健康増進効果は明らかなため、そのまま禁煙いただくことが一番です。ご相談やご質問がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

鼠径部(足の付け根)の膨らみ、しこりは様々な病気が考えられ、当院では鼠径ヘルニア以外の疾患についても責任をもって鑑別診断や治療を行います。平日は21時まで診療し、土日祝日も診療しております。電話やLINEで24時間相談を受け付けております。いつでもお気軽にご相談ください。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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