鼠径ヘルニア(脱腸)の症状セルフチェック5項目と危険な嵌頓サインを解説

鼠径ヘルニアは早期発見・早期治療が重要です。足の付け根にふくらみや違和感を感じたら、まずはお気軽に当クリニックにご相談ください。無料相談はLINEで承っております。
鼠径ヘルニア(脱腸)の症状は、初期の段階では軽微で見過ごされがちですが、放置すると生命に関わる嵌頓という危険な状態に進行する可能性があります。本記事では、消化器外科専門医が鼠径ヘルニアの症状を詳しく解説し、早期発見のためのセルフチェック方法をご紹介します。
この記事で分かること
- 鼠径ヘルニアを疑うべき5つの症状とセルフチェック方法
- 初期症状から嵌頓まで進行度別の症状変化
- 見逃されやすい症状とリスク要因
- 症状に気づいたときの診断と治療の流れ
- 日帰り手術のメリットと早期治療の重要性
- 予防と日常生活での注意点
目次
鼠径ヘルニア(脱腸)とは?症状が出る仕組みを理解する
鼠径ヘルニアが発生するメカニズム
体は筋肉という壁の覆われていますが、一枚板の筋肉ではなく、何枚かの筋肉が立体的に壁を構築しています。鼠径部では筋肉に隙間が空いている箇所があります。その隙間から腹膜が袋状に皮膚の下まで脱出するのが鼠径ヘルニアであり、袋の中に腸管が出ると患者様は「鼠径部が膨れた」と感じるわけです。

鼠径ヘルニアは、腹腔内の臓器(主に小腸や大網)が腹壁の脆弱部から皮下に脱出する状態を指します。特に鼠径部(足の付け根、股関節の前面)に発生するものを鼠径ヘルニアと呼びます。
発症のメカニズムとしては、加齢による筋肉や結合組織の脆弱化が主な原因として挙げられます。また、重い物の持ち上げなどによる腹圧の上昇や、先天的な要因による腹壁の脆弱性も関与します。さらに、喫煙や肥満などの生活習慣要因も発症リスクを高めることが知られています。
なぜ足の付け根に症状が現れるのか
腹膜は内鼠径輪から鼠径管というトンネルを通って皮下まで袋状に押し出されます。この過程で鼠径管を構成する筋膜がやや裂けますが、筋膜が裂け痛みが生じることがまれにあります。痛みは恥骨の斜め上外側に1㎝ほどズレた場所に生じます。この時期はまだ膨らみとして感じることはありません。
【セルフチェック】鼠径ヘルニアを疑うべき5つの症状
こんにちは大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。日々生活する中で、お困りのことはございませんでしょうか?気になるけれどもこの症状はどこに相談したらよいか分からない?そんな方のために本日は鼠径ヘルニアを疑う症状についてお話します。
チェック項目 | 症状の特徴 | 確認方法 |
---|---|---|
1. しこり・ふくらみ | 足の付け根に柔らかい膨らみ | 立った状態で鏡で確認 |
2. 押すと消える | 手で押すと引っ込む | 仰向けで優しく押してみる |
3. 違和感 | 立ち上がる時の不快感 | 動作時の感覚を確認 |
4. 痛み | 鼠径部や下腹部の鈍痛 | 長時間立った後の症状 |
5. その他の症状 | 性器痛、排尿症状など | 日常生活での変化に注意 |
1. 足の付け根のしこり・ふくらみ(最も特徴的な症状)
鼠径部(足の付け根、股関節の部分)にしこり(膨らみ)がある。圧迫すると触れなくなる。この症状があれば鼠径ヘルニア(脱腸)である可能性が極めて高いです。
最も特徴的な初期症状は、鼠径部の膨らみです。この膨らみは、立っているときや歩行時に特に目立ち、横になると自然に戻る傾向があります。また、咳やくしゃみ、力むときに膨らみが顕著になることも特徴的です。
立ったり、力を入れたときに足の付け根に小さなふくらみやしこりが現れる場合は要注意です。

ヘルニア嚢(脱出した袋状の腹膜)がある程度大きくなると、その中に腸管が入ることで鼠径部の膨らみとして触知できます。ヘルニア嚢がまだあまり大きくない状態では痛みを伴うことは少なく、立ったり腹圧をかけたりすると膨らみが生じ、横になると消失する、というのが典型的な症状となります。
2. 押すと消える膨らみ(用手還納性)
ふくらみが手で押すと消え、押すのを止めると再び現れることが特徴です。この所見があればほぼ鼠径ヘルニア確定と言えます。
さらに、指で軽く押すと膨らみが消失する「用手還納性」という特徴があり、これは脱出した臓器が腹腔内に戻ることを示しています。
3. 立ち上がる時・力む時の違和感
立ち上がったり、物を持ち上げたりするときに違和感や痛みを感じることがあります。運動をされている方は一度鏡でご自身のお体を確認してみてください。
膨らみが明確になる前から、様々な違和感を感じることがあります。立っているときや歩行時に鼠径部に違和感を感じたり、長時間の立ち仕事や重労働後に鈍い痛みを感じたりすることがあります。また、体を動かしたときに鼠径部に引きつれるような感覚を覚えることもあります。
4. 鼠径部や下腹部の痛み・違和感
鼠径部にしこりははっきりと触れない場合でも、痛みだけが生じているということは実際に経験します。エコーで確認すると腸管の脱出が確認できることもあります。CTを撮像することで鼠径ヘルニア以外の原因を含めた鼠径部痛の原因をある程度特定できます。
腹痛だけで鼠径ヘルニアと断定することは困難です。しかし脱腸という俗称の通り、腸管が脱出したり、その他の腹腔内臓器が脱出することで腹痛が出現する可能性はあります。
5. その他の関連症状(性器痛・排尿症状・腹部症状)
単施設で事前登録した外来患者から聴取した症状を鼠径ヘルニア患者と、対象群で比較した論文で、より鼠径ヘルニアの患者で症状が強かったのは以下の5つです。
- 性器痛
こちらもたまに訴えられることがある症状です。男性に多いように思います。片側の陰嚢が痛いなどの症状がみられることがあります。 - 排尿症状
内鼠径ヘルニアでは膀胱が脱出することがあります。排尿時の残尿感や、頻尿などの症状が出ることがあります。 - 腸蠕動亢進
こちらは直接の因果関係を証明するのは難しいと思います。皮下まで脱出した腸管が動くことで、感覚として腸が動く感覚がわかりやすくなるのかもしれません。 - テネスムス(しぶり腹)
便意はあるのに排便困難という状態のことを言います。腸閉塞などの重篤な合併症も疑われるため、注意が必要な症状と言えます。
【進行度別】鼠径ヘルニアの症状変化と危険度
典型的な症状は、立ったり、お腹に力を入れたりすると鼠径部に膨らみが出て、横になると消失します。
進行度 | 主な症状 | 危険度 | 対応 |
---|---|---|---|
初期症状 | 違和感程度、膨らみが小さい | 低 | 早めの受診推奨 |
中期症状 | 明らかなしこり、押すと戻る | 中 | 手術検討時期 |
進行期症状 | 痛みや不快感が強い | 中〜高 | 早期手術推奨 |
嵌頓状態 | 戻らない、激痛、嘔吐 | 緊急 | 救急受診必須 |
初期症状:違和感程度で見逃しやすい時期
鼠径ヘルニアは、初期の段階では症状が軽いため、見過ごされがちです。
特に足の付け根の違和感や膨らみといった初期症状を、単なる疲れや筋肉痛と勘違いしてしまうことが少なくありません。
膨らみがあるのに何年も放置しているという方もおられることでしょう。
中期症状:明らかなしこりが触れる時期
実際、日本国内では年間約15万人が手術を受けているとされていますが、症状に気付いていない方はさらに多いと考えられます。
ただ鼠径ヘルニアという用語自体が、まだ世の中にあまり浸透していないため、「脱腸は知っているんだけど、鼠径ヘルニアは初めて聞いた」という方も珍しくありません。
進行期症状:痛みや不快感が強くなる時期
ヘルニア嚢がある程度大きくなると、皮下まで脱出した腸管が腹腔内に戻りにくくなります。なぜなら、ヘルニア嚢が大きくなってもヘルニア門の大きさはあまり変わりません。出る腸管の量が多くなれば、腸管がヘルニア門で締め付けられたり、虚血になったりで痛みを感じるようになります。
消化管は口からお尻まで1本の管なので、途中の腸が狭い場所に嵌ると食事が通らなくなり、腸管が拡張して “お腹が張っている(腹部膨満感)” も感じるようになります。
【緊急】嵌頓症状:すぐに受診が必要な危険な状態

鼠径ヘルニアを放置すると、最も懸念される合併症として嵌頓があります。嵌頓とは、脱出した腸管が戻らなくなり、血流が途絶える状態を指します。
さらに、ヘルニア嚢に嵌った腸管が戻らなくなる状態= “嵌頓(かんとん)” になると、腸管の虚血は急速に進んでしまいます。虚血になった腸管は壊死し、ヘルニア門近辺で腸管穿孔となり、糞便が腹腔内に出てしまって腹膜炎となります。この状態になると緊急手術でお腹を大きく開けた手術を行って救命する必要があります。
嵌頓が発生すると、以下のような重篤な症状が現れます:
- 鼠径部の膨らみが硬くなる
- 鼠径部の膨らみが押しても戻らなくなる
- 強い痛みや嘔吐
- 腹部膨満
このような時には緊急手術が必要となる場合があります。すぐに医療機関を受診しましょう。
見逃されやすい症状とリスク要因
発見が遅れやすいケース
場合によっては症状が分かりにくく発見が遅れることがあります。皮下脂肪が多い場合は膨らみが外見から確認しにくくなります。また、活動量が少ない場合は症状が出にくく、発見が遅れる可能性があります。さらに、筋肉痛や疲労と混同されやすいという特徴もあります。
特に注意が必要な方
特に注意が必要なのは、高齢者や重労働従事者、慢性的な咳がある方々です。加齢による組織の脆弱化や、継続的な腹圧上昇により発症リスクが高まるためです。

患者さまが知っておくべきポイント
- 症状が軽くても放置せず早めの受診が大切
- セルフチェックで異常を感じたら専門医へ
- 嵌頓の兆候があればすぐに救急受診
いかがでしょうか?どれか一つだけ当てはまるという場合でも調べてみる価値はあるかもしれません。もし鼠径ヘルニアが原因であれば私たちがお力になることが出来ます。
症状に気づいたらどうすべき?診断と治療の流れ
医療機関を受診するタイミング
鼠径部にしこりと痛みを感じたら当院は大阪駅直結の鼠径ヘルニアの日帰り手術を専門としたクリニックです。
少しでも気になる症状がある場合は、専門医への相談をお勧めします。
診断方法(視診・触診・画像検査)
診断は主に視診・触診から始まります。医師が実際に患部を観察し、触れることで状態を確認します。必要に応じて超音波検査やCT検査などの画像診断を行い、より詳細な状態把握を行います。
治療の選択肢と日帰り手術
鼠径ヘルニアは自然に治ることはなく、手術による治療が唯一の解決策です。放置しておくと症状が悪化し、生活の質が低下する恐れがあります。場合により緊急手術が必要になることもあります。
現在唯一の治療法は手術です。手術方法には腹腔鏡下手術と前方アプローチ手術があり、当院では主に腹腔鏡下手術を採用しています。
鼠径ヘルニアの治療には手術が必要です。
日帰り手術のメリット
忙しい方や入院に抵抗がある方には、当クリニックの提供する日帰り手術をお勧めします。以下に日帰り手術の主なメリットを挙げます。
- 短時間で治療完了
手術は数時間で終了し、その日のうちにご自宅に帰ることができます。 - 早期の社会復帰
入院の必要がないため、仕事や日常生活への影響を最小限に抑えられます。 - 高い安全性
最新の医療技術と経験豊富な医師による手術で、安全かつ効果的な治療を提供します。
早期治療のメリット
計画的な手術を行うことで、多くのメリットが得られます。待機手術により十分な術前評価が可能となり、合併症リスクを低減できます。また、患者さんの都合に合わせて手術時期を選択できることも大きな利点です。術後の回復もスムーズで、早期の社会復帰が期待できます。
消化器外科専門医と腹腔鏡外科技術認定医による安心安全の腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術を提供いたします。平日は21時まで診療し、土日祝日も診療しております。
まとめ:早期発見・早期治療の重要性
鼠径ヘルニアは早期発見・早期治療が重要です。足の付け根にふくらみや違和感を感じたら、まずはお気軽に当クリニックにご相談ください。無料相談はLINEで承っております。
鼠径ヘルニアは、早期発見・早期治療が重要な疾患です。鼠径部の違和感や膨らみを感じた場合は、ためらわずに専門医への相談をお勧めします。適切な診断と治療により、安全で確実な治療が可能です。
定期的な自己観察を通じて、異常の早期発見に努めましょう。
予防と日常生活の注意点
予防的な取り組みとして、適正体重の維持が重要です。過度な体重増加は腹圧を上昇させ、発症リスクを高めます。ただし逆に痩せすぎも鼠径ヘルニアのリスクになるという報告もありますので、何事も適度に行うことが重要だと思います。また、喫煙は組織の脆弱化を促進するため、禁煙も重要な予防策となります。便秘の予防も腹圧を上げないための一つの方法と言えるでしょう。

患者さまが知っておくべきポイント
- 鼠径ヘルニアは自然治癒しないため、手術が唯一の根治方法
- 早期発見・早期治療で日帰り手術が可能
- 嵌頓を防ぐためにも症状を感じたら早めの受診を
- 生活習慣の改善で発症リスクを低減できる
大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックは、皆様の健康をサポートし、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。ご予約・ご相談はいつでもお待ちしております。
当院は鼠径ヘルニア日帰り手術の専門クリニックです。ご相談はお電話、lineから24時間365日受け付けております。お気軽にどうぞ。
電話やLINEでお気軽にご相談ください。