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虫垂炎論文紹介
田村 卓也院長

高齢者の虫垂炎リスクと予防的手術の重要性

こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック院長です。今回は、最新の研究結果を基に、高齢者の虫垂炎リスクと予防的手術の重要性についてお話しします。

最新研究が示す高齢者の虫垂炎リスク

2024年6月に発表された研究によると、65歳以上の高齢者の虫垂炎は、若い方と比べて様々な面で注意が必要であることが分かりました。

  1. 診断の難しさ:高齢者は典型的な症状を示さないことが多く、病院を訪れるまでの時間も若い方の2倍以上(平均7.88日)かかっています。
  2. より詳細な検査が必要:高齢者の86.1%がCTスキャンを受けており、若い方(54.0%)よりも高い割合です。
  3. 重症化のリスク:高齢者は複雑な虫垂炎(より重症な状態)になりやすく、その割合は46.7%に達します。
  4. 手術と回復の難しさ:高齢者は手術時間が長く、ドレーンの使用頻度も高くなっています。
  5. 合併症のリスク:手術後の合併症は高齢者で27.9%(若い方では12.9%)と高く、特に腸閉塞などの深刻な合併症のリスクが高まります。
  6. 長い入院期間:高齢者の平均入院期間は7.9日で、若い方(3.6日)の2倍以上です。

予防的手術のすすめ

これらの研究結果から、当院では次のように考えています:

  1. 若いうちの予防が大切:年齢が上がるほど、虫垂炎のリスクと合併症の可能性が高まります。若いうちに予防的に虫垂を切除することで、将来のリスクを大きく減らすことができます。
  2. 日帰り手術の利点:当院では、虫垂炎の日帰り手術を行っています。若い方であれば、短時間で回復し、日常生活への影響を最小限に抑えられます。
  3. 計画的な予防:重要な予定(就職、結婚、出産など)と虫垂炎の再発が重なるリスクを避けられます。
  4. 安心な生活:虫垂を切除することで、将来の虫垂炎の心配がなくなり、特に海外旅行や遠隔地での生活の際に安心です。

まとめ

高齢になるほど虫垂炎のリスクと合併症の可能性が高まることが、最新の研究で明らかになりました。若いうちに予防的な手術を受けることで、将来の不安を取り除き、より安心した生活を送ることができます。

当院では、現在症状のある方には保存的治療後の待機的日帰り手術を、過去に虫垂炎を経験された方には待機的手術をお勧めしています。

大切な予定と再発が重ならないよう、予防的日帰り手術をお考えの際は、ぜひ当院までご相談ください。皆様の健康と安心をサポートいたします。

著者

院長
田村 卓也Takuya Tamura

略歴

2012年3月 川崎医科大学医学部卒業
2012年4月 川崎医科大学附属川崎病院
2014年4月 大阪赤十字病院
2022年12月 MIDSクリニック入職
2024年2月 MIDSクリニック院長に就任

資格

外科学会専門医/内視鏡外科学会技術認定医/癌治療認定医/JATEC(外傷診療研修)修了/緩和ケア講習会修了

所属

日本外科学会/日本消化器外科学会/日本内視鏡外科学会/大腸肛門病学会/日本ヘルニア学会/日本臨床外科学会

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